新東京邂逅記 by 長谷川高

厳しい時代を生き抜く為の資産防衛と不動産戦略

不動産の価値と価格

弊社のお客様が、事業用不動産を購入するにあたって
ある東京郊外の地方銀行へ融資の依頼に行きました。
購入予定物件は、東京都心エリアに隣接する城南エリア
にあります。
その行員は、その物件を見てこう言いました。
「もっと高利回りの物件が郊外にありますよ。○○さん
には、リスクが高い物件ですよ」と。
不動産投資には、もちろんリスクは付きものですが、
この助言は、明らかに賛同できないものがります。
弊社のお客様にもよくコンサルティング時に申し上げる
のですが、
仮にAという物件があって、利回りが9%として現在
満室としましょう。
方やBという物件があり、利回りが6.5%としましょう。
仮に同じ価格であるとするならば、一見すると物件Aの
方が価値のある物件のように思います。
しかし、もちろんこの二物件は、立地が異なります。
Aは、東京近郊エリア、つまり郊外にあり、Bは、都心や
城南エリアにあるとします。
現在の不動産マーケットでは、アパートローンをフルローン
で組もうとする方が多い故に、兎に角利回りだけが高いA
のような物件を求める方が必然的に多いのは事実です。
弊社によくある相談案件としても、このAのような物件の
調査依頼が非常に多いのです。
しかし、このAという物件の利回り9%は、5年、10年先も
実現できるものなのでしょうか?
その将来における需給バランスと賃料の動向を予想するこ
とが非常に大切なのです。
企業で言えば、将来の営業利益や、フリーキャッシュフロー
を予想せずして本来の企業価値評価ができないのと同じ
ことです。
こういった物件は、おおよそ、人口減少が激しい地方都市
や東京近郊と言っても「バス便」物件であったり、不人気の
沿線で、賃貸市場が弱いところであったり、目の前に
大きな建物が既に建っていたりといった「マイナス要因」
を内在するものが殆どです。
こういった「マイナス要因」を抱えた物件は、需要と供給
のバランスが崩れたエリアでは、収益が悪化します。
仮に将来家賃が20%下がって、空室率が10%になった場合
どうなるのでしょうか?
単純計算で
9%×0.8×0.9=6.45となります。
実際は、空室率が上昇し、家賃が下がっても、管理修繕費用や
固定資産税は、同率では下がりませんので、
ネット利回りは更に低下します。
よって、5年後、10年後を考慮に入れた場合(不動産投資は、
長期での会社経営と同じですのでもちろん長期で考える必要
がります)、物件Aの方が価値があるという先の銀行員のよ
うな意見は、素人というか、正に何も理解していないに等し
い投資のアマチュアの発言です。
表面的な、価格に惑わされて本来の価値を見抜くことを
忘れてはいけません。
少なくとも銀行が融資をしてくれるから良い物件であるとい
うのは、全くもって間違いのようです。
彼らは、価格を見て審査をする力はありますが、本来の価値
を評価する教育も受けていなければ、その手法も知らない
訳ですから。
よって、皆さん自身が不動産の価値を見る目をもたなくては
なりません。