Japan Far East Real Estate

Hasegawa Real Estate and Economy, Inc.

「ワンルームマンション投資のリスクを考る」


今回は、ワンルームマンション投資のリスクを検証してみます。

まず、営業サイドがうたうワンルームマンション投資のメリットは、
主に次の点に集約されいます。

  1. 月々の賃料から借り入れ金の返済、管理費等を差し引くと、月々数千円程度の持ち出しか、商品によっては益が出る。よって気軽に買える。
  2. 家賃収入は売主等のサブリース契約により家賃保証されているので安心。
  3. 5%から6%の利回りでこの低金利の時代有利な投資である。
  4. 完済後の将来は家賃収入は年金代わりになる。
  5. 買主がもしも亡くなられた場合、団体信用生命保険に加入しているいため、ローンは全て完済される。よって月々の家賃収入が遺族にもたらされるので生命保険代わりになる。

上記のそれぞれのポインを検証してみましょう。

  • 1)に関しては、変動金利ということが後々大きなネックになってきます。ほとんどのワンルームマンション購入のための融資は一部の銀行を除き主にノンバンクが行なっています。この融資は4年間程の固定金利でその後には変動になるというものです。長期金利が安い現在は低く設定されていますが、この低金利がいつまでも続くが大きなリスクとなります。数年後金利が上昇したタイミングで月の返済額が急に増え毎月毎月大きな損を出すリスクも考慮しなければなりません。
  • 2)については、通常、この家賃保証は通常2・3年後ごとに更新する保証内容になっています。つまり2・3年経って家賃が下がってきたら当然買った時点の家賃は見直しされ、何らその後の保証されません。次に家賃が今後下がる可能性ですが、ワンルームマンションの需要を大きく荷っている学生や若い世代の人口が既に急激に減って行きます。東京中心部への流入の絶対数は、減らないとしても、広域では、需要と供給のバランスが崩れマクロ的には家賃相場は崩れるリスクは高いと言えます。よって、人口減という大きな流れにおいても需給環境が悪化しない良い立地の物件を選ばないと将来の賃料下落のリスクを背負うことになります。
  • 上記の考察から、もうお分りのように将来的に同じ利回りが確保される可能性は、まずは、将来においても需要低減せず金利が上昇しないことが前提となります。金利上昇はおそらく避けられないでしょうから、賃貸の需要が確実に存在する立地であるかどうかが決め手になります。それが、期待できる沿線は、当然ながら、東京圏でも限られると思われます。
  • ワンルームマンションにも25年〜30年といった長期に渡っての充分な大規模修繕計画等がしっかり組まれているかチェックが必要です。長期に渡る修繕計画が充分でない物件は、将来の修繕がままならず、資産が毀損する恐れがあり長期的に大きなリスクを背をうことになります。当然ながら、上記4)を実現するには、不可欠な前提条件となります。
  • 5)についても、確かに債務者が死亡すれば、完済されますが、リストラされたり、病気で働けなくなり、物件自体が、キャッシュフロー上、月々持ち出すようになってしまうリスクも同時に存在することを忘れてはいけません。

最後にワンルームマンションは一般的な不動産市場では流通しにくいのが
現実です。
よって、換金性はリスクは低い故(流動性のリスクが高い故)、換金性の高いJリートに比べ高い利回りが要求されてしかるべきなのです。

以上の様に、ワンルームマンション購入時には
1)厳しい立地、プラン・間取り、仕様の選別
2)当該エリアにおける賃貸需要の現状の調査
3)そのエリアにおける将来の賃貸市場の需給の予測
4)総合的に、中長期的に資金を回収できるだけの高い利回りが確保できる収支計画・事業計画か
5)他のリート等に比べ有利な投資物件であるのか
といった点を考慮に入れて慎重に対応すべきでしょう。
長谷川高(デジタル不動産コンサルタントLTD.)