Japan Far East Real Estate

Hasegawa Real Estate and Economy, Inc.

ある盲導犬の記憶

先日、テレビを見ていますと、年を取った盲導犬が余生を
過ごすための施設が紹介されていました。
あの盲導犬というのは、本当にけなげな頭が下がる動物
ですよね。
その放送を見ていて、つい過去の記憶を思い出しました。
それは、もう10年以上の前のことです。
当時、4WDの車にMTBを乗せて、林道を走り、途中で
MTBに乗り換えて散策するというようなアウトドア・
ツーリングによく出かけていました。
ある休日、奥多摩の奥にある丹波山村、そのまた奥にある
山梨の秘境といわれている一之瀬高原に行きました。
そこは、風景が桃源郷のような所でお気に入りの場所でした。
その集落には、小川が流れ、春には沢山の花が咲き、
風の又三郎に出てくるような古い小さな木造校舎も残って
いました。
私は、この集落でMTBを車から降ろし、絵に描いた
ような美しい山里を散策していました。
もう秋だったと思います。
過疎化が進み住民の方は非常に少なくなっていました。
もうおそらく数軒しかない人家のある家の前を通った時
猟犬風な犬に強烈に吼えられ、かつ追いかけられました。
鎖に繋がれていないのです。
私一人に猟犬3匹で、武器もありませんので、MTBを盾
にして100mぐらい久すら後ずさりして、逃げ帰りました。
その後、部落周辺の林道をMTBで回っていると、林の
中から、一匹の犬が突然出てきました。
私は、今度は野犬に襲われるのかと思い恐怖に駆られました。
しかし、その犬は、吼えもせず、全くに私に危害を
加えようとする意思がないことはすぐに分かりました。
かつ、その犬は、背中に盲導犬が付けている人間が握る
輪のようなものが付けたままの犬でした。
この犬が出てきた場所は、通称「犬切り峠」といいます。
私は、先程の出来事で気が動転していたこともあり、
なんとその犬を追い払ってしまいました。
その犬は、素直に、また山の中に消えていって
しまいました。
多分捨て犬の元盲導犬なんだと直感的に思いました。
今思えば、自分で飼うことができなくとも4WDの車に
乗せて東京に連れて帰ることが物理的にはできたのに
と思います。
まして、その盲導犬、リードというのでしょうか、
それをお腹に付けたままというのは、冷静に考えると
捨て犬としては、不自然です。
普通は、外して捨てるかと・・・。
今でも、こういったテレビを見ると思い出します。
あの時の盲導犬の寂しそうな悲しそうな目を。
人間に尽くしてきたのに誰も助けてくれないと。
そうです。私もとっさに助けるどころか、
怖くて追い払ってしまいました・・・・。
後々でも、何故、助けてあげなかったのかとの思い
が消えません。
あの犬は、どこから連れて来られたのでしょうか?
捨て犬だったのでしょうか?
どちらにしても、今でも忘れられない後悔として
強く残っています。