新東京邂逅記 by 長谷川高

厳しい時代を生き抜く為の資産防衛と不動産戦略

オリックス国内不動産に3,000億円投資の真意

昨日、6月29日の日経朝刊一面にオリックス
この2008年度だけで日本国内の不動産に約3,000億円の
投資をする旨の記事が掲載されました。
全額自己資金で賄い、原則長期保有し、賃料収益やマネージメント
フィーを得るのを目的とするとい内容でした。
但し1件当りの投資は30億円から200億円を想定しているとの
ことです。
この記事の読んだ、業界人としての個人的な感想は、
「流石オリックス」というものと、
半分は、
「これを額面通り通取ってはいけない、注意して行間を読まなくては
ならない」
というものです。
まずは、「流石」の部分ですが、かつてのバブル崩壊時に
最も早く不良債権を処理し、更に外銀と同じ時期に安く
不動産を底値で買い始めた企業はオリックスでした。
もっとはっきり申し上げると、当時、日本の企業では、
大手ではオリックスだけが底値買いにおいて際立っていました。
そんな目利き企業が、この時期に、近々不動産のサイクルの底が
来ると判断したのだと思います。
(今回もその判断が正しいかはまた別問題ですが)
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次に「額面通り取ってはいけない・・・」という部分は、
幾つかあります。
まずは、

  • 「全額自己資金で」という部分からは、あのオリックスにも今や銀行は事業用の不動産取得にはファイナンスをしないのかという点です。銀行の不動産業者向け融資は、やはり相当厳しいのが分かります。
  • 物件価格を30億以上200億とし、場所も東京、大阪、名古屋に限定している点。これは、もう一等地の大型物件しか買わないことを意味していますし、尚且つ、中期的にはリートに組み入れる前提での購入を当然目論んでいると思います。分かり易く言えば、「地方の物件、2等地以下の物件、小規模な物件は、一切買わない」ということです。やはり不動産の2極化は、避けられないと思います。つまり2極の「もう一方の極」は、今後も更になる下落が避けられないのが現実だと思います。
  • 最後に、最も重要な事実は、「買う予定にしている」ということで「既に取得したのではない」ということです。業界では、「常に買います」と高らかに宣言しませんと、情報が入ってきません。特に、現在のような状況下では、「どうせどこも買えない」と皆が思っているのです。実際、「今は、買えないけれど、買いに転じた時に、急に『買います』と宣言しても、情報の流入は急には回復しない、よって、今はから、『買います』と言い続けておかなければならない」というのは、業界では、当たり前のことです。そういった意味では、プロ中のプロのオリックスさんも「実際は、今現在が正に底だ」と言っているのではないと思います。これから、やってくる大底に対応すべく今回のプレスリリース(=戦略)ではなかったかと思います。

以上、個人的な見解ですが、どちらにしても業界の目利きであるオリックスさんの動向からは、目が離せません。個人投資家の方も動向を注目してみたらよろしいかと存じます。


長谷川高(デジタル不動産コンサルタントLTD.)