何故ゼファーは同じ轍を踏んだのだろうか?
あのバブル当時の無謀な土地投資とバブル崩壊による
破綻を一社員として学んだ世代が経営していたのに。
何故なのだろうか?
今から、数ヶ月前に取引先から、ある物件一覧表を見せられ
ました。6〜7物件の概要だけが書いてあるA3の表1枚でした。
売却物件一覧だったのですが、それらはどれも大型物件であり、
かつ一目で転売が非常に難しいと分るものばかりでした。
「これは酷い」と率直に思いました。
もちろん物件を実際には見てはいないのですが、
「所在」と「規模」と「価格」と「テナント」と・・・
どれを取っても一目で「売れない」かつ「酷い」と思われる
物件ばかりでした。
「どこの会社がもっているのか?」と聞くと
ある企業の担当者は、
「ゼファーです」と。
愕然としました。
何故なんだと。
「あの時、一緒に学んだはずなのに、何故、こんな案件に(購入の)
OKを出したのか?」
先日のニュースを聞いた時、その時のことも再度思い出しました。
「やはり」という気持ちと、なんともやりきれない思いになりました。
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成功体験は、それが数年という短期間でも充分に人の正常な感覚を麻痺させます。
大きく儲ければ儲ける程、過去の苦しい体験やリスクのことは忘れ、
投資(購入)のハードルも何時の間にか自然に下がってしまいます。
何故なら、
「自分には、投資の才能がある」
「自分は、決して損はしない」
「自分の投資の判断は決して間違わない」
という油断が誰にでも生まれるのです。
しかし、その時が、きっと最もリスクが高まるのでしょう。
(個人投資家もこれは同じだと思います。)
また、上場企業故の「毎期増益」といった至上命題を常に掲げられ
毎期増益を達成するための売上に目標をもってしまうと、
結果として仕入れ基準も甘くなり本来ならば(冷静であるならば)
仕入れない物件も、止むを得ず仕入れた経緯もあるのでしょう。
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ゼファーの民事再生法申請の記者会見には、
私の大先輩が数名映っていました。
ゼファーという東証一部上場企業が、若干2名からスタートした当時から、私は
知っていました。
誠に残念です。
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こういった厳しい不動産市況の状況は、以前からこのブログ等で
何度もお伝えしてきました。
しかし、いざ現実によく知っている企業がこの様な状況になって
みると本当に恐ろしく思います。
「果たしてこの様な状況は、何時まで続くのだろうか?」
残念ながら、これから、秋に掛けて、更に立ち行かなく不動産会社が
続くと思われます。
今後さらに、破綻する企業が増えていけば、
ノンリコースを含め、不動産業者向けに融資を盛んに行ってきた
銀行の財務内容が相当傷むと思われます。
外資系金融機関のノン・リコース融資担当者は、ほぼ全員既にファイヤー
(解雇)されたそうです。
中堅デベロッパー(不動産ファンド)→中堅ゼネコン→中堅金融機関
という負の連鎖が始まってしまいました・・・・。
長谷川高(デジタル不動産コンサルタントLTD.)