新東京邂逅記 by 長谷川高

厳しい時代を生き抜く為の資産防衛と不動産戦略

経済危機にこそ活きる不動産投資(CRE戦略)

東京駅の八重洲口を出て左折すると第一鉄鋼ビル、第二鉄鋼ビルという超一等地に建つ古い大きなビルがあります。(其々昭和26年と29年の竣工)
このビルの所有は、鉄鋼ビルディングという会社ですが、元は広島(創業は呉)の建設会社「増岡組」が戦後、鉄鋼ビルディングという子会社を作り2棟の大型ビルを建てたようです。
現在の増岡組は、売上約150億円程度の地方の老舗ではありますが中堅建設会社というのが地元での位置づけのようです。余計なお世話ですが2007年の決算は赤字だったようです。
しかし、この鉄鋼ビルディングは毎年売り上げ約50億円、利益10億円をコンスタントにたたき出しています。つまり超優良企業です。建物建設以来約50年以上に渡り間違いなく増岡組やその一族の方や従業員を支えてきたのだと思われます。
増岡組は、「呉」の建設会社といことでお気づきの方も多いと思われますが、太平洋戦争前後、海軍との繋がりが非常に深い会社だったようです。(同社100年史による)
つまり戦争の特需により「軍需産業」の担い手として大いに儲けた時期があったようです。その儲かった時に、素晴らしい投資をしたことが(またこの土地を手に入れることができた人脈も含め)当時の経営判断が非常に秀逸だったと感じます。素晴らしい先見の明です。
ジリ貧と言われる広島経済の公共事業が今後如何に削減されても、この一族とこの企業グループは将来に渡って存続することでしょう。
(現在では、この増岡組と鉄鋼ビルディングの親子関係は逆転しているようですが)
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さて、上場企業においても立飛企業、昭栄、昭和飛行機工業、中央毛織等々、企業が元来もつ遊休地を活用したり儲けを新たに優良な不動産に投資をすることで、本業を支え、財務的な安定を実現している企業が数多くあります。
そして、太平の時代には、あまり評価されないこれらの企業がこういった時代には羨ましく感じるものです。
今回のような世界的な金融危機や経済危機というものはやはり長い歴史においては起こり得るものだということを私たちは知らしめられました。
また、会社の本業の絶好調の時期が数十年も持続することは、経済的な循環論からしても歴史的経験からもなかなか非常に困難なことなのでしょう。
今回の経済危機はそれを思い知らせてくれました。
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賢明なる経営者によって行なわれている事業でれば、ある時点、きっと上記の増岡組のように「儲かる時期」があるはずです。
その時に当然ながら将来に備えて設備投資や研究開発費に再投資することは鉄則であり、言うまでもないことですが、其の再投資の一部を優良な不動産に投資するということも決して無能な経営者の選択とは言えないのではないかと思います。
今回の経済危機を如何に乗り越えるかを考えた時、もちろんトヨタやホンダ、キャノン、パナソニックソニーのような既にグローバルかつ超一流企業は本業で充分にサバイバルできるのでしょう。
しかし個人(自営業者)や中小零細企業は果たして本業だけで凌ぐことができるのでしょうか。
私は、個人も中小企業も不動産投資・活用戦略を持続的な経営の一手法として検討すべきだと思います。
時代の変化とグローバル化の速度がこれまでの経験からは予想できない程早い時代に本業だけで事業を持続していくことは、相当困難なことではないでしょうか?

今のような経済状況においても(不動産業界においても)全く動じていないのは優良な資産をもつ「大家さん」です。三菱地所から増岡組から世田谷の農家の方まで。
羨ましいと言っているだけでは駄目です。
中小企業においても、本社、営業所、工場の移転、再編成により資産の有効活用を計り、財務的に安定した基盤を作ることは充分に可能です。
但し、今後、日本の不動産は、完全に2極化していきます。
人口の減少や、都市部と地方の格差は留まることはないでしょう。
増岡組が当時広島駅の前に広大な土地を購入したのではなく東京であったことも選択としては相当に先見の明があったと思います。
個人も法人も自分の土地は思い入れもありますし、よく見えるものですが、しかし、将来収益を生まない資産に関しては売却できる内に売却し、現金化するなり、他の収益を生む不動産に買い換えることが必要です。不動産を売却した時の税金も「事業用資産の買い換えの特例」措置を使えば大幅に軽減が可能です。

儲かった時の余剰金を何に投資するか?
会社の保有する資産をどう活かすか?
また何に買い換えるか?
こういった基本的な不動産戦略や判断が企業の将来に与える影響は実に大きなものとなるのは明白です。
企業のCRE戦略とは要はこういったことだと思います。

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