新東京邂逅記 by 長谷川高

厳しい時代を生き抜く為の資産防衛と不動産戦略

不況の時こそ見直されるキャッシュフロー

不動産業界では、不況になると不動産管理業が俄然注目を浴びるようになります。不動産管理業やサブリース、転貸事業(コインパーキングやトランクルーム事業もこれに当たります)は「累積経営」と呼ばれ毎月ある一定のキャッシュを確実に生む事業はまさに「有り難い」事業となるのです。

この本質的に「有り難い」事業が景気の良い時には地味な業種とされ、業界でも目立たない存在、位置付けなのです。
不動産再販事業(いわゆるマンションや戸建事業)や流動化事業は、市況の良い時はいけいけどんどん的に「もっともっと」と行なわれますが、再販・分譲事業はいざ今日の様な状況に陥れば、莫大な在庫を抱え恐ろしいぐらいに逆回転状態になります。
一つ一つの事業において利益が数億、数十億出ても「一回こっきり」であり、決して「累積」していきません。次から次へと事業を仕掛けエンドレスな戦いをしなければなりません。
上場企業でもいまや、キャッシュフローを毎月生んでくれる不動産管理会社の存在が「本体存続の鍵」になっています。大京は、ジョイント・コーポレーション連結子会社であるJ・COMS(不動産管理会社)を傘下に収め生き残りを図っています。同時に「マンション分譲事業の規模を市場規模に合わせて段階的に縮小する一方、不動産管理事業を柱とするストック事業の拡大を図る」としています。この「ストック事業」即ち「累積事業」です。
この「累積経営」という造語を始めて私に教えてくれた方は、エリアリンクの林尚道社長です。今から10年以上前のことです。
エリアリンクも一時不動産流動化ビジネスの悪化で経営危機になりましたが、エリアリンクの本業である「累積経営」に軸を戻し再建を図っています。少なくもこの「累積経営」事業が無かったら、エリアリンクは他の破綻した新興デベロッパーと同じ道を辿っただろうことは容易に想像できます。
エリアリンクは、流動化事業から撤退し処理し、それでも自力で生き残るだけのキャッシュフローを生むものをもっていた、言うまでもなくこの点が他の破綻した新興不動産企業との決定的な違いなのです。

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かつて、原弘産が日本ハウズイングにTOBをかけたのも全く同じ理由からだと思います。「キャッシュフローを生むものをもちたい」と。これは成功すれば、原弘産にとっては起死回生の最高のTOBでした・・・。
原弘産の経営陣は、遅かれ早かれ不動産市況、つまりマンション分譲事業が今日の状況になることはわかっていたと思います。日本ハウズイングへのTOBは失敗に終わりましたが、素晴らしい先見性であり、思い切った決断力がある信長の様な経営者だと思いました。(当時、本当に「これは凄い」と「命を掛けた強烈な大外狩り」だと感嘆しました。)
他の中堅、大手の経営者は、所詮あ〜だ、こ〜だと「非難すれど実行せず」でしたから。生き残りをかけた正に関が原の戦いは端で見ていてもどきどきする凄い展開でした。
しかし、市況が悪くなった時ではなく、何故儲かった時に、キャシュフローを生むものを入手しようとしないのでしょうか?
それは、儲かった時には「もっと行ける、もっと儲かる、更に拡大だ」といった「いつもでも続けられるといった経営陣のおごり」があるからだと思います。20億円投資して5億儲かる転売や再販事業の方がそれは魅力的ですから。但し、それは実際には何時の時代も何時までもは続かないのです。
そして社員には、エンドレスの渡り鳥のような仕事を延々とさせるのです。このエンドレスな次から次への渡り鳥事業が社員も会社も「幸せ」にするとは思えません。社員は何時か疲弊し、会社は、景気が悪くなったら即経営危機です。

また、元来キャッシュフローを確実に生む事業が本業の企業は普段は比較的地味で目立たない存在ですが、こんな時期に(逆張りの)こんなことができるのです。

京阪電鉄、首都圏で賃貸ビル取得 最大1000億円投資
 関西の大手私鉄京阪電気鉄道が首都圏で今後3年間に最大1000億円を投じて賃貸オフィスビルなどを取得するほか、今秋には都内で初のビジネスホテルも開業する。商業ビルの運営受託も始める。不動産市況の悪化を受け、都内の不動産を割安な価格で取得できると判断。関西では人口の減少に伴い、鉄道収入が鈍化しており、首都圏での事業を新たな収益源に育てる。
 今後3年間で800億―1000億円を投資し、1棟当たり数十億―100億円で築後10年未満の中規模ビルを購入。すでに数十億円で東京・大手町に賃貸用オフィスビルを取得しており、今後も空室率が低い千代田、中央、港の3区を中心に物件取得を目指す。(日経)

この記事を読んで、京成電鉄のあるOBの方の言葉を思いだしました。
「我々は、よく先輩にこう言われました。内の会社は、朝一番から深夜終電まで一日『発車―』と電車を走らせれば、毎日8000万円入ってくる会社なのだ。なかなかそんな会社はないんだぞ!」

これは何時のころの京成電鉄の話しかは分かりませんが、上の京阪電鉄にしても京成電鉄にしても確かに鉄道会社は、鉄道会社故の凄さがこうった時代には際立ちますよね。(普段は地味な位置ですが。)もちろん電鉄会社も真似は個人も一般法人今更できませんが、但し見習うべき点は多くあると思います。まずは、皆が食えるキャッシュフローを生む基盤作りありきではないかと。

個人投資家も事業家、企業家も「儲かった時」、「景気の良い時」、「絶好調な時」、次にどうするかですよね。
こういった時こそ本来地味でも確実にキャッシュフローを生むものを手に入れるべきだと私は思うのですが・・・。

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PS.
キャシュフローを生むもの・・・・それがが収益不動産でなくとも構わないと思いますが。
素人が「飲食店」という発想は止めた方が良いと思います。飲食業、私の知っている不動産会社の社長さんは皆さん失敗して1・2年で撤退しています。飲食業は上手くいけば毎月キャシュフローを生むことも稀にありますが、素人が片手間に手を出すと確実に毎月「キャッシュアウト」していくようです。
景気の良い金融業界の方も一時、ワインバーとかイタリアンレストランとか個人で出されたようですが、これも結果は同じようです。
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