今後、仮にインフレ、その中でも悪性インフレ、又はハイパーインフレになった場合、不動産を保有している方が現金を保有している場合に比べ、価値の目減りをヘッジしうるのか検証してみたいと思います。
まずは、仮に10倍のハイパーインフレになった場合を想定してみましょう。
つまり円の価値が10分の1になるというとんでもない想定です。
そうなりますと、100円マックが1,000円を支払わないと買えなくなり、スーパーの納豆3パックも1,000円以上に、タクシーの初乗り料金も7,800円、東京・名古屋間の新幹線の片道料金は約10万円となります。
これは大変な事態です。仮に3,000万円を定期に預けていた方に取って、現金の価値は実質300万円まで下落してしまうということになります。
さてこの場合、仮にこの現金3,000万円をなんらかの「不動産」を購入して保有することにより、ハイパーインフレをヘッジできるのでしょうか?
上記の様なハイパーインフレは、そもそも日本経済に壊滅的な打撃を与えるでしょうから、「不動産」であろうが「株式」であろうが、国内の資産を保有するより(例えば)ドル預金しておいた方が単純明快でマッチベターなのではと感じます。
しかし、ここでは一応国内の不動産ということで話しを進めたいと思います。
確かに現金でそのまま保有するよりは不動産で保有しておいた方が多少なりともヘッジになるのは事実だと思われます。
しかし、それには幾つか条件があると思われます。
先ずですが、国内の資産家の方がおもちの賃貸ビル、マンション、アパートを考える場合、一つ大きな問題が発生します。
それは、仮に急激に10倍のインフレになったからと言って、家賃を10倍に値上げすることは極めて難しいという事実です。
約20年前の不動産バブルの時、(例えば)港区南青山や渋谷区神宮前の高級住宅地の土地取引価格は、最高、坪単価3,600万円までいきました。
現在の取引価格のざっくり約10倍の価格でした。
この時、家賃が同じ様に上昇したかと言えば「否」なのです。
特に、土地価格が上昇する前から契約していた賃料の値上げ交渉は実質困難でした。
地価が10倍に値上がりしても、家賃はそのままの状態で維持されるということが起こるのです。
これは、日本の借地借家法では、借家権が強く保護され、どんな経済事情があれ、家賃を一方的に値上げすることはできないのです。
つまり家賃の値上げを目的として、調停や裁判で係争しても、大家さん側に勝ち目がないのです。
日本の家賃に関する判例では、過去における家賃、つまり「継続賃料」が重視されるのです。その時々の経済情勢は殆ど加味されないと言ってよいでしょう。
結論から言うと、インフレ対策では、賃貸物件は著しく不利であり、土地の場合であれば更地で、マンションやビルの場合は、空の状態であった方が望ましいかもしれません。
(又は貸すにしても、定期借地、定期借家契約をしておくという対応策はございます)
次に重要なことは、先に述べた様にハイパーインフレになれば日本経済は危機的状況になるでしょうから、不動産自体の流動性が著しく落ちると思われます。
太平洋戦争直後の不動産取引のようなものでしょうか。
(話しは逸れますが、そうなりますとドル預金しておき、そのドルで底値で日本の一等地の不動産を買うのがベストな選択でしょうか・・・)
よって不動産と言ってもどこでも良いのではなく、どんな経済情勢になっても(華僑や外資が買ってくれるような)つまり買手が付く、または将来経済が回復した時にいち早く値がつくであろう、いわゆる人気のエリアである必要があると思われます。
華僑の方が、日本の新築マンションを購入しても誰にも貸さないで空の状態にしておく方が多いのです。
これは単純に転売目的故に「常に売り易い状態」にしておくというのが理由だと思われます。
仮に上記のインフレ対策も含まれるとしたらこれは深い知恵です。
これも華僑の方の昔ながらの常識というか原則の一つなのでしょうか。
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