Japan Far East Real Estate

Hasegawa Real Estate and Economy, Inc.

借金の為の資産売却と譲渡所得税


私は、サラリーマン時代、土地やビルを買う、つまり投資する部署に所属していましたので、ある一定規模以上の不動産を保有している方で不動産を売る立場の方々に多くお会いしてきました。


誠に残念なことに、こういった方々は本来「売りたくないのに売らなければならない」厳しい状況にある方が殆どでした。
ですので決済が終わった後
「長谷川さん、RC社に買ってもらってありがたいと言いたいけれど、後はもう自殺するだけだよ」等と、どこまで冗談なのかぶっそうな事を言う方もいらっしゃいました。


こういった気持ちになるのは、先祖から引き継いだ不動産を何らかの理由の手放す無念さが一番なのですが、色々お話ししてみると、売った後の税金のことを考えると更に暗い気持ちになってしまうという現実がありました。


例えば、何らかの借金を背負い、その借金返済の為に先祖伝来の不動産を売却した時、(実際にはそういった理由で売る方が多かったのですが)不動産を売った時に掛かる「不動産譲渡所得税」が当然のごとく課税されことになります。


特に先祖伝来の不動産となりますと、取得価格(例えば明治時代に先祖が買った場合の不動産価格)は当然ながら極めて安く、


「売却価格」―「取得価格」−「経費」=「譲渡益」


上記の「式」における「譲渡益」が極めて大きくなり、これに課税される税額も当然大きくなってしまいます。


「借金返済の為に、大切な不動産を売却したのに、更に莫大な(不動産譲渡)所得税がかかるとは・・・税金を払うお金が無い・・・」
ということになってしまうのです。



しかし、この譲渡所得税が掛からないケースがあります。


一つは、他人の借金返済の為に不動産を売却した場合です。


これは、例えば他人の債務の連帯保証人になってしまっていて、その返済の為にといった場合だけでなく、自分の会社の借金返済の為に売価した場合も含まれます。
つまり「自分の会社でも『他人』なのです」
この場合は、譲渡所得税は非課税になります。
(但し、個人事業でこさえた借金は『他人』の借金ではありませんので)


次に、自分でつくってしまった借金でも
債務超過の状態が著しく、その者の信用、才能等を活用しても、現にその債務全部を弁済する為に資金を調達できないのみならず、近い将来においても調達することができないと認められる場合」
は譲渡所得税は非課税となります。


但し、「税務署」に「認められる場合」とありますので債務超過であればどのケースでも認められる訳ではありませんのでご注意下さい。



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株式会社長谷川不動産経済社

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はじめての不動産投資

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*尚、本書は2009年に出した「お金を生み出す家を買いたい」を加筆、改稿したものです。特に税務関連を大幅に加筆しました。節税の為の法人利用の方法、メリット、デメリットをできるだけ詳しく解説しております。