新東京邂逅記 by 長谷川高

厳しい時代を生き抜く為の資産防衛と不動産戦略

日中両国における不動産バブルの類似点と根本的な違い


かつて、日本で1980年代後半に起きた不動産バブルと現在の中国における不動産バブルはある面から見ると多くの類似点がある。


当時の日本において不良貸付け(=後の不良債権)を行ったのは、金融機関だけではない。
銀行の審査が通らない時、その融資案件を子会社であった住専、又はノンバンクに回して融資を行っていた。
不動産バブル後期にはそのスキームがより多く使われていた。
勿論、その多くが結局不良債権になった訳である。


当時を思い返すと日債銀長銀を筆頭とした金融機関系だけでなく、商社系、農協系、リース会社系、証券系、メーカ系のあらゆる業種を親会社とするノンバンクが無数にあった。


結局この子会社がつくった不良債権は、最後には「親」の所で処理された訳だが、同時に(親会社も含め)多くの企業が破綻した。



さて、現在の中国の不動産バブルを見るとこの「ノンバンク」の役割を担っているのが通称「シャドーバンキング」と言われるものである。


このシャドーバンキングの「親」は金融機関だけでなく、地方政府だという。
このシャドーバンキングは「理財商品」と呼ばれる金融商品を直接国民に売って資金を集め、地方政府等が行っている不動産開発に融資をしている。
この点は確かに当時のノンバンクを使ったスキームとは異なるが、「親」が融通できないものを「子」が融資を実行し「目的を達成しよう」としている構図は全く同じである。


現在、中国全土の不動産開発プロジェクトは、金融機関から通常の融資を受けられない状態に至り、苦肉の策として、こういったスキームによりどうにか延命をはかっている。
(実態は既に塩漬け状態であるようだが)


日本の不動産バブル後期において銀行自ら融資できない案件に住専や傘下のノンバンクを使って自分と融資先の延命の為に融資を実行していった構図と類似している。


この融資は何時か回収しなければならいのは明白であるが、この回収自体の時間稼ぎは可能であることは日本の事例をみても明らかである。


一方、日本でも高い金利をうたって預金を集めたコスモ信用組合が真っ先に破綻したように、10%以上の利回りをうたって理財商品を売っているシャドーバンキングの破綻は早期に表面化するだろう。


しかしながら、このシャドーバンキングはコスモ信用組合とは明らかに異なる。
シャドーバンキングの債権者(預金者)は全て中国人民で、シャドーバンキングの親である金融機関は国営企業であり地方政府もイコール「国」である。
つまり共産主義の国における「国」と「中国人民」との間での貸し借りなのだ。


よって、中国政府は、最後の最後は国民に犠牲を強いてこの借金を強引にチャラにしてくるのではないかと。


日本でも昭和21年、財産税法により資産家や富裕層の財産を国家が没収した過去がある。
かつての日本にできて共産主義国家が中国人民の預金を何らかの方法で奪う決断をできない訳がないと。


よって、中国人民の懐は疲弊するだろうが、国家が国民から借りた借金をチャラにするだけなので中国国家は破綻しないのではないかと。


この点が、かつて国外の法人が債権者であった韓国が破綻した時とは大きく異なる。


しかし、中国人民の懐が大きく痛み購買力が大きく落ち込むことになるだろう。そうなればアジア経済、世界経済において大きな打撃となるのは間違いない。


同時に、全国的な中国人民のよる暴動は避けられないのではないだろうか。
そうなると中国という国家は経済的に崩壊しなくとも政治的に崩壊するのかもしれない。
さて、中国の政治的崩壊とは何だろうか?
それは皆が貧しくとも平等な共産主義社会に戻る訳ではいのは明白だ。

即ち旧ソ連と同じ道を辿るのだろうか。そうなるとそれを契機に民主化進み。多くの自治区が中国から独立して行くのだろうか。


最後に、中国及びアジア新興国国家における極私的な投資戦略です。
その対象が株式であっても不動産であっても、長期的にみれば投資のチャンスはこれから幾らでも到来すると思われる。

さて、それが何時か?!
私は、上記の理由から、それが「今」ではないと感じる。

そのタイミングは「事」が起きてからだと。

もし「事」が起きないとすれば、それこそ中国共産党指導部の優秀さを認めざるを得ない。

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株式会社長谷川不動産経済社

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はじめての不動産投資

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*尚、本書は2009年に出した「お金を生み出す家を買いたい」を加筆、改稿したものです。特に税務関連を大幅に加筆しました。節税の為の法人利用の方法、メリット、デメリットをできるだけ詳しく解説しております。