Japan Far East Real Estate

Hasegawa Real Estate and Economy, Inc.

相続対策としての不動産投資ブームとその死角


今年に入ってから不動産投資ブームが続いています。


不動産業界全体にアベノミクの影響もあり総論追い風が吹いています。
また、実需での売買だけでなく、収益物件であるマンション、アパート一棟、区分所有物件の売買も活況を呈しています。


需要が供給を上回っている結果、比較的築年数の新しい物件は、表面利回り5%、ネット利回り4%程度で流通しているのが現状です。(東京での事例ですが)


流動性を考えた時、Jリートの利回り(現状4%〜5%)よりは高い利回りを本来期待すべきなのでしょうが、現在のマーケットではそうなっていないのが現状です。


これには、不動産投資家の数が今年に入って急増しているといった現状があるかと思います。
以前からのインカムゲインを求めての不動産に投資する一般の投資家だけでなく、相続税対策として現金(有価証券等)を不動産に組み換えている資産家、富裕層の方々がマーケットに多く参入してきています。


ご存知の様に、27年1月1日以降実施される予定の相続税が改正(基礎控除の減額と税率のアップ)されます。
そこで、資産家や富裕層の方々が資産防衛の為に動き出したのです。
現金や有価証券等を不動産に組み換えることにで「相続財産の評価減」を狙ってのことです。
実際の売買の現場でもこういった相続対策の為の収益物件等の購入が非常に目立ってきました。


しかし、注意すべきことは大きく二点あります。


確かに現金から不動産へ資産を組み換えるだけで、その(買った)瞬間に、資産の評価は(現金で保有している場合に比べ)約70%〜80%となります。
加えてその不動産を他人に貸せば評価は更に下がります。
これだけ書くと何か良いことばかりのようです。


しかし、税務署の相続税評価が下がる以上に、(5年後、10年後)実勢の不動産価格(又は価値)が大幅に下がってしまった場合
「相続対策は上手くいったが、資産自体は結局目減りした」
ということになってしまいます。


実際、売買の現場にいると「相続対策を急ぐあまり、投資不適格と思われる物件を買ってしまっているケース」が散見されます。


また、先に記したように不動産を買って他人に貸すと確かに更に評価が下がるのですが、
「空室」の時に相続が発生してしまいますと、この評価減を享受することができません。


よって当たり前のことですが、


1)将来に渡って資産価値が落ちない物件

2)空室が発生し難い物件
を選ぶ必要があります。


当然ながらこういった物件ならば、流動性=換金性も高く、いざ売る時にも、より高く、かつすばやく売却することができます。



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株式会社長谷川不動産経済社

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はじめての不動産投資

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*尚、本書は2009年に出した「お金を生み出す家を買いたい」を加筆、改稿したものです。特に税務関連を大幅に加筆しました。節税の為の法人利用の方法、メリット、デメリットをできるだけ詳しく解説しております。