新東京邂逅記 by 長谷川高

厳しい時代を生き抜く為の資産防衛と不動産戦略

湾岸エリアにおける不動産の未来


昨今、東京の不動産マーケットでは随所随所で(過去一年、二年の価格上昇を経て)再度リーマンン・ショック前まで不動産の価格が上昇してきたと感じ場面に出くわすようになりました。


この1・2年の不動産市況を見ますと見逃せない大きなトピックスがありました。


アベノミクス東京オリンピックです。
昨年、アベノミクスのよる株価上昇効果に続き、東京でのオリンピック開催が決定してから不動産業界は活況を呈してきました。
しかし、不動産業界で会う人々に「オリンピックが来ることで長期的に地価は上がると思うか?」と聞きますと実は意見は半分に分かれます。しかし少なくとも「短期的には既に上がっている」といった実感は一致していると思います。
よって、昨年から新築及び中古のマンションは上昇してきました。
特に都心部においては顕著でした。


その都心部においても特にオリンピックが東京で開催されることにより特注目されているのが選手村や様々な競技施設が新たに建設予定の湾岸エリアです。


この湾岸エリアも短期的に見るならば発展することは間違いなのでしょうが、(不動産を購入又は投資を行う上で)長期的な視点で見るならば、このエリアは、まだまだ不安要素が残っています。


それは何でしょうか?一つには、液状化の問題、つまり地盤の問題です。
(この問題は今や忘れさられたかのようですが)
次に、交通の利便性の問題です。現在の所「ゆりかもめ」とJR「京葉線」、東京メトロ有楽町線」等は通っていますが決して充分とは言えません。


住環境も公園や緑道等が少なく、まだまだ整備途上といった感があります。
何時の時代においてもこれら「交通の利便性」と「環境の良し悪し」は単純明快に不動産の価値を決める大きな要素です。



湾岸エリアに対する個人の趣味嗜好の問題は別としてあの無機質な感じが逆に良いという意見も少なからず存在します。
しかし、不動産投資においては、自分の好みだけでなく、一般的に「大多数の借家人や投資家がどこにより好んで住むのか」ということを考慮にいれなくてはなりません。当然ながら将来、売却時により高く売れる物件に投資すべきことは言うまでもありません。


湾岸エリアの不動産やマンション価格は「オリンピックまでは価格は上場していく可能性は高いだろう」という期待から価格が上昇してきました。
少なくともこれまでは。

かつて豊洲にまだ「何もない」頃の新築分譲マンションの坪単価は@140万円程度でした。
現在のタワーマンションを中心とした価格は裕に専有坪単価@300万円を超えています。
さて、今後もこの上昇傾向は続くのでしょうか?


長期的な視点で見て私が危惧していることは、選手村が完成し、オリンピックが終わった後が問題だということです。
実は選手村として建設された「一万戸」を越える宿舎が中古住宅として分譲・賃貸に出される予定となっています。
また、この湾岸エリアは元々ドッグ、倉庫、運輸、工場等々が殆どを占めていたので、これからも「大きな土地」、つまり大規模マンションが建つ土地が出て来るでしょう。
埋め立てた都有地も、民間への払い下も続くと思います。


その時、不動産マーケットにどんな影響を与えるでしょうか。


更には日本が抱える構造的な問題としての日本の少子高齢化、つまり就労人口の減少です。
この大きな問題も吸収し今後も湾岸エリアは発展していくでしょうか。


湾岸エリアの総論としての発展は今後の続くと思われますが、投資の観点で言えば、問題はやはり(将来において)需要の供給のバランスが崩れないかということです。

もっと簡潔に表現されるならば、現在の世田谷区や杉並区並となった不動産価格が今後も維持されるかどうかです。

この湾岸エリアに、例えばですが、代々木公園クラスの森林公園を2つ作り、南仏のようなヨットハーバーを3カ所、東京湾及び運河沿いに緑道、歩道、自転車道を整備し、尚かつ有名一流大学を2校程度誘致したならば、このエリアの将来性は長期に渡り大きく担保されると思います。


しかし、これは民間のデベロッパーや「都」単独で行うには荷が重過ぎます。やはり「国」が国策として行わなければ実現できないものでしょう。


よって湾岸エリアが今後も更に発展していくかどうかは交通を含めた周辺環境の整備にどれだけ政府なり都が本腰をいれるかにかかっていると思います。
どちらにしてもあの残された広大な土地は実に貴重です。
銀座や東京、丸の内にも近い。

このエリアに国が本腰を入れ、湾岸エリアを香港やシンガポールを凌駕する国際都市にするための投資をすべきだと個人的には感じます。

それには、広大な公園、運河の整備、緑道、自転車道の整備、カジノ、大学が不可欠かと思います。


愚直でまっとうな不動産投資の本

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長谷川不動産経済社