新東京邂逅記 by 長谷川高

厳しい時代を生き抜く為の資産防衛と不動産戦略

「総合商社」と「お百姓さん」を目指そう


弊社で投資コンサルティングを行う場合、その方の年収をお聞きすることがあります。
これは、その方がどの程度の価格までの不動産を購入できるかということをおおよそつかむ為であり、また、どの程度のローンを組むことが安全であるかを知る為です。
ここ10年ほど、常に驚かされるのは、総合商社にお勤めの方々の年収が極めて高いということです。


企業や所属部署に関わらず、年齢を考慮しても、相当な高給であることに驚かされます。
総合商社は、私が学生時代には「ラーメンから人工衛星まで」と言われ、とにかく儲かるものであればなんでも扱うという印象であり、それは今でも変わらないと思います。


当時と比べて明らかに変わったことといえば、仲介斡旋における手数料商売ではなく、自らリスクを取って資本を投下し、「当事者」=「事業者」としてビジネスに関わり出したことです。自らの資金を投入することには、当然ながら大きなリスクを取ることになります。
しかし、仲介、斡旋業から自らリスクを取って投資することで現在の総合商社の存在と収益が群を抜いて際立ってきたのです。


そのリスク管理も、まさにグローバル的なリスク管理能力を発揮して収益を上げていることは他に類を見ません。


この総合商社という業態は、世界を見渡しても、日本独特なものだそうです。
中国をはじめ、欧米でも、この特殊な業態を学ぼうとする企業が後を絶たないそうですが、その実現には一朝一夕にはいきません。総合商社の歴史をひも解けば明らかなように、どの企業も創業は古く、やはり、新興企業が簡単に真似ることはできない歴史の蓄積があるようです。
 


ところで、私はこれからの時代を一言で表すならば「何が起こってもおかしくない時代」だと近年繰り返し述べてきました。
それは、言い方を変えれば「起こりえないようなことが起こる時代」ということです。
あの東日本大震災における地震による津波の被害、はたまた原子力発電の問題、経済においては、未だ沈静化しないEUにおける南欧諸国の経済危機問題、はたまた中国における不動産バブル崩壊の問題。


天変地異に関しては、国土では約3%しか占めない日本で世界の約14%の地震が起こっており、日本全国どこへ行っても温泉地があることからも、全国に活火山があるという特別な国であるといえます。


経済においても、日本の経済は、世界第三位です。これはグローバル経済に組み込まれた結果による第三位であり、その結果として、殆どの国民が行ったこともない国の経済が破綻することにより、遠く離れた日本にも影響を及ぼすことになってしまっているのです。


リーマンショックの時、私は、サブ・プライムローンと言われる低所得者向けの不動産融資の証券化ビジネスが近々破綻することをその数年前から予想していました。
しかし、その問題が拡大し、まさか日本の経済にまで大きく影響を及ぼすとは全く想像することができませんでした。
経済がグローバル化した結果、欧米を中心とした金融危機が遠く海を越えてやってきました。
その結果、私の取引先の多くの企業も破綻しました。


以上のように、我々はこういった起こりえないようなことが起こるリスク、想像し得ないようなことが現実になるリスクに備える為にも、一人一人が総合商社を真似るべきだと思います。


こんなことを書くと、個人でどうやって三菱商事三井物産を真似るのかとお笑いになる方もいると思いますが、私は真面目にこのことをお勧めしたいと思うのです。そのいくつかの方法論をこれまでも述べ実践してきました。


我々は、さすがに一人で「ラーメンから人工衛星まで」のビジネスを営むことはできませんが、やはり今後は複数のビジネスを持ち「ミニミニミニミニ総合商社」を目指すことが必要ではないかと思います。


別の言い方をすれば、複数の収入の流れを模索し、小額の資本や時間を投資することにより実際に可能であると思っています。


「百姓」という言葉は誰でもご存知だと思います。
百姓とは勿論、一般的には、農業従事方を指すのですが、その語源は「百もの様々な名称の職業に従事するもの」ということらしいのです。


かつて農業従事は実際に農業以外に、例えば木工、大工、左官、髪結い、畳屋、屋根屋等々多くの「業」を実際営んでいたのです。よって百もの呼称があった故に「百姓」と呼ばれたのです。


私の場合で言うと、本業は不動産コンサルティング、不動産投資顧問業であり、ここから派生する仲介業があり、更には保有する不動産からの家賃収入、リート(不動産投資信託)からの分配金収入、株式からの配当収入、および講演料や著作物からの印税収入という、本業以外かも多岐に渡って収入を得ています。


実体験として言えることは、リーマンショック時の金融危機においては、この本業以外の収入に本当に助けられました。


この本業以外の収入なくしては、精神的、経済的余裕を失わずにその大波を越えることができなかったかもしれません。
私自身、今後も「総合商社」や「お百姓さん」を見習って複数の「業」を行っていくつもりです。


さて、我々がもう一つ総合商社に学ぶべきことがあります。


それは、グローバルにアンテナをはるということです。これは、今現在、インターネットを利用すれば世界各国のニュースを読むことができますし、衛星やCSチャンネルのニュース番組やドキュメンタリー番組からこれまた世界各国のニュースを見ることができます。


また、航空運賃の低価格化により、格安チケットを利用して世界各国どこへでも実際に訪れてその実態を肌で感じることができます。
私が学生時代初めて米国に行った時は1ドル250円の時代でした。その当時に比べれば現在の様に円の価値が高まったことも大きな助けになるはずです。


私自身は、これからも一人総合商社を目指していくつもりです。世界にアンテナを張り巡らせることにより政治や経済の動きをできるだけ早く察知し、その情報を投資活動や自らのビジネスにいかしたいと思っています。
今後も海の向こうからやってくるであろうリーマン・ショックのようなものにもしっかり対応していく必用があります。


別の言い方をすれば、日本経済がグローバル経済に組込まれてしまった今日では、個人のレベルでもそこまでやる必要があるとも言えますし、それが可能になったとも言えます。


つまり、何より大事なのは新たな潮流やその変化をキャッチすることとリスク管理なのです。
我々は総合商社のように各国に駐在員を置くことはできませんが、様々なメディアを通じて世界の情報を得ることや自ら出向いて情報の真意を確認することが不可能ではない時代なのです。




長谷川不動産経済社