Japan Far East Real Estate

Hasegawa Real Estate and Economy, Inc.

学生向けワンルームマンションの厳しい未来


不動産投資において、「立地こそが命」であるということに異を唱える方は少ないと思われます。
将来において、資産価値が落ちない物件を誰もが求めています。
資産価値が下落しない物件とは、別の言い方をすれば将来も家賃が下がらない物件、併せて空室率が低いままで抑えられる物件ということになります。


不動産に投資したものの、数年後には家賃が大幅に下落し、空室率が上昇して困っている投資家の方が少なからずいらっしゃいます。
そういった方は、どこで何を間違えてしまったのでしょうか?


幾つかの実例を見てみたいと思います。

ある、弊社(長谷川不動産経済社)のお客様が「この物件の近くに大学や専門学校があるからの入居が多く見込める」という確信をもって投資された物件が、なかなか部屋が埋まらないということがありました。


原因はいくつか考えられます。その一つが、学生への仕送りが現在は月平均7万円程度(20年前は月平均約10万円だったと記憶しています)に減ってきています。家賃として支払うことができる金額が以前に比べて減ってきているため、より割安な物件を求めざるを得ないのでしょう。
更には、最近では下宿代を節約する為、片道3時間以上掛けて実家通っている学生もいると学生専門に扱っている賃貸業者さんに聞いたこともあります。



また、今も昔も学生は、本質的にはできるだけ繁華街の近くに住みたいはずです。仮に、都心の郊外に大学があれば、そこに通う学生は就職する時にはその地を離れ、より都心の近くに移り住むということになるのではないでしょうか。


よって、近年では、東京近県や東京郊外の学生向けアパートやマンションは、元来の少子化の影響もあり、借り手と貸し手の需給バランスが崩れてしまい、なかなか空室が埋まらない状況になっています。


先般「全国の大学の約50%が定員割れ」というニュースも伝えられました。


こうなって来るとそもそも若年層向けのワンルームマンション経営を行うこと自体どうなのでしょうか?


さて、次の事例ですが、
「大企業の城下町や工場の近くのアパート、マンションだから投資して安心」
という考えで投資しましたが、やはりなかなか部屋が埋まらないといったケースが見受けられます。


以前、三重県四日市へ遊休地の不動産活用の調査に行ったことがあります。
近くに大手家電メーカーの工場が完成した時期であり、この工場周辺にも調査の足を延ばしました。
この工場では生産した家電は、世界に向けてブランドイメージを確立し、一時代を作りました。
当時、巨大な工場周辺の土地は大規模に宅地造成され、そこで働く方向けの戸建てやアパートが次々に建設されていました。
その後は、皆さんもご存じの様に多くの家電は中国、韓国、台湾のメーカーに押され、日本の家電メーカー自体が経営危機に陥りました。
そして、この日本を代表する工場でさえ、一時閉鎖される危機に瀕したのでした。
もしもこの工場が閉鎖されていたら、周辺に建築された住宅、アパートはどうなっていたのでしょうか。


このように一つの企業や工場に入居者を頼らざるを得ない不動産への投資は非常にリスクが高いと言わざるを得ません。
残念ながら日本は高度成長の時代ではなくなってしまいました。
今後も工場が、ある日急に閉鎖、又は移転といったことがたくさん起こり得るでしょう。
また、今後は工場だけでなく、大学や専門学校は学生が集まらず閉校となる事例が出てきています。


それではどのような立地が不動産投資に向いているのでしょうか。
不動産投資は2〜3年で終了する事業ではありませんので10年先、20年先も活気があり続ける街を選ばなければなりません。


とは言っても、土地勘がないとなかなかその事自体を確かめようがないかもしれません。
ではどうすればよいのか。それは土地勘を養う方法として何度となく現地に足を運ぶことだと思います。仮に2~3度行ったことがあれば、「何となく分かる」とは思いますが、やはり「なんとなく」のレベルだと思います。
こういった状況で安易に不動産を買って(投資して)しまうと後で後悔する事が多いようです。


「あまり土地勘が無いエリア」で不動産を買ったり投資したりすることは当然ながらリスクがある訳ですが、手っ取り早く土地勘を付けるにはどうしたら良いでしょうか?


私はその候補の街に2泊3日でもよいのでウィークリーマンション等に住んでみるのが良いと思います。
住んでみて実際毎日オフォス街まで通ってみる。
昼夜、空いている時間は街をぶらぶらし食事をして飲みに行ってみる。
地元の本屋や商店街やカフェをよく見る。そこに活気があるのかないのか。

そこまで行動を起こせば、ある程度その街のポテンシャルや好悪も含めて肌感覚として分かってくると思います。
これを実行すれば、「あの物件に投資しなければ良かった」といった取り返しの付かない失敗に陥らずにすむと思います。


はじめての不動産投資

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長谷川不動産経済社