新東京邂逅記 by 長谷川高

厳しい時代を生き抜く為の資産防衛と不動産戦略

国内不動産マーケットの高値維持は中国経済次第


今後の日本の(と言うよりはある意味東京の)不動産の市況を語るのはなかなか難しいと言えます。
業界内でも「今後どうなるのと思う?」と親しい者同士よく会話をするのですが、「今がピークではないか」とか「オリンピックまでは」とかプロ同士でも意見は別れます。
しかし、現在の高値安定の持続性が危ういものであることには意見が一致しているのではないでしょうか。


私が個人的に注目しているのは、やはり中国経済です。
このアジアのいや世界の経済大国発の経済危機(=中国不動産バブル崩壊)が起こった場合、日本経済に激震をもたらし、同時に日本の不動産マーケットにも大きく影響を及ぼすと考えます。


日本のバブル崩壊過程において、また竹中平蔵金融担当大臣が登場した折りによく中国の要人が来日し、日本のバブルの処理(の失敗)について学んで帰ったいったことをよく記憶しています。
おそらく当時、何度も同じようなニュースや新聞記事を読んだのだと思います。


しかし、彼らは当時の日本から何を学んだのでしょうか。
ご存じにようにあの当時日本はバブルの処理を後送りにし無闇に遅らせることにより日本経済は長期に渡る不況に陥りました。
その失敗から彼らは「どうすべきだったのか」を学んだと私は思っていました。
しかし、どうやらそうではないようです。
あの当時「ソフトランディング」と呼ばれた「問題先送り手法」、「兎に角自分達は責任を取らず、膿みは出さずの時間稼ぎの手法」を学んで帰ったということが現在の中国政府の施策をみていてよく分かります。


四半世紀前の日本の(不動産)バブル崩壊の過程は、まずは体力の無い不動産会社が次々に破綻、次に迂回融資に使われていた各企業傘下のノンバンク及び住専の破綻、最後に大手銀行の破綻(長銀日債銀等々)の順番でした。つまり不動産の不良債権化から最終処理までをチンタラと無闇に時間をかけておこなってきました。


一方、中国では、まだ上海や香港では不動産が高値で売れているようです。
内陸部は既にゴーストタウン化、不良債権化している不動産開発案件が数限りなくあるようですが、まだ日本で言えば都心部はもっているようです。
流石13億人の民が住む国です。
そこら辺りのスケール感が日本とは異なるのでしょう。


しかし、日本のバブル崩壊も先ずは地方都市から崩れていきました。
中国で言えば当然内陸部の都市です。



中国では日本の銀行の迂回融資として活用されたノンバンクに当たるのが、各地方政府です。彼らは自ら高利回りの債権を発行して地元の不動産開発へ融資を行ってきました。
よって、おそらく、中国において次から次へと地方政府が破綻する事態に至る時が、正に本当のバブル崩壊なのだと思います。


一方、中国共産党は今や「人気取り」の為においそれと「全国的かつ本格的なバブル崩壊」を望んでいないのは明らかです。


今の中国政府は全国的な人民の反乱を力で抑えることは到底不可能であること分かっているのでしょう。
よって、彼ら中国共産党幹部の取る方策は日本に学んだ時間稼ぎでしかない「超ソフトランディング」戦略なのでしょう。


しかし、地方政府が人民に売った(例えば)10%という高利回り債権に対する償還を実行することなどできる訳がありません。何せ融資した不動産開発プロジェクトは止まってしまって転売できない状況なのですから。この地方政府に更に追い貸しをする(行政・金融)機関があったとしてもそれはやはり問題の先送りでしかありません。


日本でもバブル崩壊の過程において、コスモ信用組合という東京の信組が「マンモス定期」という高利回り定期を発売し注目を集め、その後間もなく破綻しました。
あの小さな信組の破綻を契機として多くの金融機関が続々と破綻していったことを最近よく思い出します。

中国の小さな地方政府や銀行の破綻。これが起きた場合、当時の日本と同じ様に堰を切ったように各地方政府、金融機関の破綻が起こるのではないでしょうか。
何故ならば、これがが中国人民が政府を見限るきっかけ、つまり巨大ダムの決壊にきっかけになるのではないかと思うのです。



長谷川不動産経済社