Japan Far East Real Estate

Hasegawa Real Estate and Economy, Inc.

「コロナ第二波よりも怖い大波がやってくる」

現在、新型コロナについて一つだけはっきりしてきたことがあります。それはこの新型コロナの収束までは想像以上に長引きそうだということです。そして、この長引く影響が世界経済に相当な影響を与えるだろうということです。

 

最近大いに気になる点がございます。現在の経済状況が、2007年当時のリーマンショック、つまりサブプライムローン破綻前夜に似通ってきたと感じています。当時の経済危機は、移民の方や低所得者に無謀な住宅ローンを組ませ、それを証券化し広く販売し、その後融資の多くが当然のごとく破綻したことから起こりました。

 

現在、当時の住宅ローンに当たるものが、投資不適格企業への融資であり、この投資不適格債権(投資不適格企業向けの融資)を集めて投資商品にしたものが CLO(ローン担保証券)と言われる投資商品です。これの残高がここ数年急激に増えてきております。

 

私の手元にある2007年発行のみずほ総合研究所調査本部によるレポートよりますと、リーマンショック当時の米国住宅ローンの全体9.6兆ドルの内、サブプライムローンは1.3兆ドルとあります。(1ドル、105円換算で)約137兆円となります。

 

2019年9月時点の同じくみずほ総合研究所のレポートによるとレバレッジローン市場の残高は約126兆円とあります。このレバレッジローンやCLO、そして低格付け企業が発行した社債の残高が近年の金融緩和により急激に増加してきました。

 

豪州在住の元米国を代表する著名投資ファンドのトレイダーで現在投資助言業務を営む友人の試算によると、こういった投資不適格企業向けの融資やCLO、社債等の総計は、既に1,000兆円程度ではないかというのです。

 

リーマンショック当時と現在とでは、借りた主体が「人」と「企業」かの違いはありますが、その残高はどちらも天文学的な数字になっています。

 

そして本来、借りることにおいて不適格な「人」や「企業」が借りてしまっているという事実は同じなのです。既に記しましたように、新型コロナウイルスの「早期」の収束は見込めなくなりました。別の表現をすれば「長期化」することがはっきりしてきました。現在、飲食、観光をはじめサービス業全体、さらには当初は想像できなかった業種にも厳しい経済的影響を与えております。

 

つまりこの新型コロナによる経済的な打撃が本質的な経済不況を引き起こし、(これまでどうにか存続してきた)上記の投資不適格企業群に致命的な結果をもたらすことの確率は低くないと思われます。

 

既に、米国ではシェールオイル等のエネルギー関連企業の倒産も急激に増加しております。実態経済が悪くなり、それにより投資不適格ランクの企業群の破綻が続き、更に経済に甚大な影響で出るのはそう遠くないはないと思われます。

 

リーマンショックも当初は「海の向こうの出来事」だと思われていました。しかし、結果は世界金融恐慌となりました。

 

現在、当時から早12年が経ち、グローバル化はより進み、より世界は密接に繋がっています。今回も決して海の向こうの出来事では済まないと感じています。

 

一般的には新型コロナによる直接的な経済への影響を危惧されている方が多いと思います。しかし、この新型コロナによってもたらされる第2波だけでなく第2段階の大波こそに備えるべきだと感じています。

それは何時でしょうか?

夏の海が冬の海になって初雪が降る頃かもしれません。

 

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 長谷川不動産経済社

 

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