Japan Far East Real Estate

Hasegawa Real Estate and Economy, Inc.

エクセル重視の不動産投資におけるリスク

不動産投資の最盛期はもう過ぎたようです。

今回は、私は実際にお会いした個人投資家の方で実に驚いた事例をご紹介したいと思います。

 

その方は、東京在住の方ですが広島市内の一棟の物件を購入しようということで相談に来られました。

数日後に契約予定といったスケジュールだったと思います。

私は、物件を見ていないので資料だけからの判断であることを断って、幾つかの問題点を指摘させて頂いたのですが、

 

「その程度のことであれば契約しようと思います」

とおっしゃいました。

私は、

 

「契約前に広島の現地をもう一度見て、ご指摘した点や周辺環境やマーケットを確認した方が良いですよ」

 

とお伝えすると

 

「実は、物件は見ていません。銀行が融資してくれるということと、収支が合うのでもう契約しようと思います」

 と。

 

実際、その方は自分で幾通りものシュミレーションをしたエクセル表を見せてくれました。

 

 「いや〜それでも絶対に一度は契約前に現地を見て、最低限こういったことは確認した方が良いですよ」と申し上げました。

 

しかし、笑顔で

エクセル上の収支が合って、

銀行の融資が付いた物件で、

しっかり手元に現金が毎月残るのだからもう大丈夫ですとの判断でした。

 

私としても資料を見ただけで、現地を見ていないのです。土地勘も東京に比べれば殆どありません。よって「親戚の従兄弟が広島市内で税理士をやっているので立地のことだけでも聞きましょう?」とお尋ねすると再び笑顔で「大丈夫です」ということでした。

 

あれからもう結構な月日が経っていますが、あの投資行為は、その後どうなっているでしょうか。

 

エクセルは便利な道具です。が、エクセルによるシュミレーションは、美しい数字の羅列であり、心の安心材料にはなりますが、不動産投資における肝心要ではありません。

あくまでも投資を行う上での道具の一つであり、シュミレーションも判断材料の一つでしかないのです。

それ以上でもそれ以下でもありません。

 

実際に、現在のコロナ禍の現状がよい例ですが、あの時のシュミレーションが絵に描いた餅でしかなかったということが起こり得るのです

 

昨今あれれ?と感じることは、物件そのものや、周辺環境やマーケットを十分に調査しないで、エクセル表ばかりをいじって安心している投資家が増えたように思います。

エクセルは元々は売り手、つまり営業サイドのツールであることを忘れていけません。

安心を与える為のツールです。

自分がエクセル教の投資家になってはいけません。

 

数字は嘘をつきませんが、数字そのものが今の時代、大きく激変するリスクをはらんでいるのです。

そのことを忘れてはいけません。

そして、その時のバッファーは何か?それは、やはりその物件がもつ本来の「力」であり「体力」「耐性」なのです。

そしてこればかりはそう簡単には数字にはできない部分です。

 

昨今のコロナ禍で、一定の物件で空室率の上昇や家賃の下落が徐々に、そして確実に起こって来ています。

一方全く影響のない物件も存在します。

その差は、当然ながらエクセルでは表すことができない部分なのです。

 

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長谷川不動産経済社

 

 

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