FIREなるものに対する私見
最近経済誌が度々特集しているFIREなるものを少し考察していきたいと思います。
FIREとは、Financial Independence, Retire Early だそうです。
我々世代はもうearly とは言えないわけで、そもそも問題外ですが、年長者としていくつかコメントできたらと思います。
このFIREなる言葉は年長者よりも逆に若い世代により響いているように感じます。
それはまだまだ自分の人生どう転ぶか分からない、結果が出ていない中であわよくば自分も可能か?と希望をもたれるのだと思います。それは決して悪いことではないと思います。
さて、私が考えるFIREを達成する為に必要なことをいくつか思いつくまま列挙してみたいと思います。
- 本業を持ち、その本業でプロになり、プロ故にそれなりの収入を得られるように一生懸命に働く。
- そしてその所得の一定部分を毎月コンスタントに貯蓄する。
- いざという時に自分を助け、又は助言し、導いてくれる真の友人や先輩、師匠を持つ。
- 幸運に恵まれる。
- 良い運≒人と巡り会う為の行動をする。
- チャンスや機会に恵まれた時には投資や起業にも挑戦してみる。但しそれ相応の準備を。かつ全財産を失わない程度に。
- 上手い儲け話や怪しい話し、怪しい人間には近づかない
- 金融、経済、歴史の勉強をする。
- リスクとは何かを勉強し、そのリスクをどうにかコントロールする。
- 散財するようなギャンブル、悪癖、悪い習慣を改める。
他にも色々ございますが、キリがないのでこの辺で終わりにします。
今日からでもできることもありますので、是非トライしてみて下さい。
又、FIREした後に何をするのかも事前に考えておいた方が良いと思います。
これまでもこのようなブーム?がある度に実現した方も少なくないですが、FIREした後にあまりにも退屈でまた元のビジネスの世界に戻って来られる方が多いのも事実です。
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「馴染み」
コロナ感染がどうにかこうにか収束しようとしています。
もちろんまだまだ今後のことは分かりませんが、実に長かったですね。
私は当初、カミュの「ペスト」等の書籍を読み約10ヶ月後には収束に向かうと勝手に予想を立てていましたが、見事に外れました。
この長期に渡ったコロナ感染拡大期間、生きていく為に重要なことが何かが、いくつかはっきりと分かったように感じます。
一つはやはり勿論「健康」ですね。もう一つは「人」と「社会」との繋がり、そしてある程度の「経済的な余力」でしょうか。
今後も何が起こるか分からない時代の欠かすことのできない問題です。
その経験を踏まえて今強く感じているのは「馴染み」というキーワードです。
私には知り合いにお医者さんは何人かいらっしゃいます。それは同級生やお客様なのですが、本当の意味での「掛かりつけ医」の先生がいない、つまりこれからはどうにか関係を構築していかないといけないと感じました。
この「掛かりつけ医」の意味は診察券をもって数回通っているというのではなく、お互いの携帯電話番号を知っているレベルのお付き合いができているかです。
もう一つ、自分か特段用事がなくてもぶらっと寄って雑談をして帰れるような「馴染みの店」も少ないと感じました。
馴染みのカフェ・喫茶店、馴染みのバー、馴染みのレストラン。
こういったものを特段作ってこなかったと。
安くいか高いか、美味しいかどうか、といったことよりもっと重要なことがあることに気がつきました。
同時に自分が「不動産の専門家」としてお客様に「馴染み」になってもらう努力も足りなかったと感じる今日この頃です。
とにかく、このまま収束してほしいと願う昨今です。
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「人生ゲーム」と「一回休み」
私が子供の頃「人生ゲーム」なる双六が流行った時がありました。
人生ゲームとは言いながらも所詮双六ですので、サイコロを振り、出た目だけ紙製のボード上で自分の駒を進めるというものでした。
そして、早く「ゴール」に到着した者が勝ちとなる単純なものでした。
サイコロの出た目の数通り進むとそこには「交通事故にあい、2コマ下がる」とか「●●で3コマ進む」と記載があり、単純なゲームではありましたが、なかなか簡単にはゴールできないようにできていました。
子供にとって雨の日の暇つぶしにはもってこいの遊びでした。
こういった双六ゲームでよくありましたのが「一回休み」というものです。
つまりサイコロを振る順番が一度スルーされるというものです。
その分だけ先へ進むのが遅れるわけです。
さて、今回の新型コロナによる様々な不自由は早1年を経過しようとしています。
経済的な面においては飲食店や宿泊・観光業で働く方々ばかりでなく、様々な業種において甚大な被害が続いています。
結果、世界中で新型コロナという感染症によって、長期の「一回休み」を取らざるを得なくなりました。
我々は、特にビジネスにおいて「休む」などということは元来想定しておらず、
そもそも「休む」などと言うことは怠惰なことか罪悪であるように教育を受けてきました。
ただ、今やこのような状況になってみますと、「休む」こと自体を学ぶことが必要だと感じます。
「如何に休むか」をです。
そんなことを申しますと「休んでいる余裕などない!」といったお怒りの声が聞こえてきそうですが。お許し下さい。
しかし、人間にはどうにもならない事態がこの数十年を振り返っただけでも、阪神淡路大震災、リーマンショック、東日本大震災、そして今回の新型コロナウィルス感染と次から次へと起こってきました。
更には現在、地球温暖化による異常気象の慢性化が世界各地に様々な天災を引き起こしています。
人生ゲームは子供向けの双六ではありましたが、思えばよくできたゲームだったと思います。
リアルな人生においても他者より数歩先に進むこともありますが、逆に3歩も6歩遅れることが起こり得ます。正にあのゲームと同じです。
また、人生ゲームでは「降り出し(スタート地点)に戻る」などと言う目が出る時があります。
しかし、このゲームが面白かったのは、一度降り出しに戻った者がその後、運に恵まれ最終的には勝ってしまうなんてことが起こったことです。
この点は、リアルな人生においても同じなのではないでしょうか?
さて、今回は世界中の人々にとって「一回休み」という「目」が出ました。
それも長期の「一回休み」となりました。
そこで、先のようにこの「休み」を「如何に休むか」なのです。
堂々と休む、虎視眈々と休む、それともただただ休む、どれであっても良いように思います。
ただ「休み」にも「術」が必要だと言うことです。
ところで、あの人生ゲームの「ゴール」には、他に何と書いてあったのでしょうか?まさか「定年」とか「リタイア」などと書いてあったとも思えません。
ただ「ゴール」と書いてあっただけでしょうか?それとも・・・そこが気になるのですが、どうしても思い出せません。
そもそもリアルな人生における「ゴール」とは何なのか?
それを考えれば、今回、一回休むことを恐れる必要などないのかもしれません。
確かなことは、リアルな世界での勝ち負けは「到着の順位」ではないのですから。
東京でもやっと梅が咲いてきました。
もうすぐ確実に春がやってきます。
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エイベックス、電通の本社ビル売却は赤字補填の為だけではない
*下記コラムは先日、日刊ゲンダイへ寄稿したものです。
「エイベックス、電通の本社ビル売却は赤字補填の為だけではない」
〜時代が変わったことに気が付いた先端経営者の決断〜
今から十数年程前、私の事務所が建て替え前のエイベックスビル本社(東京港区南青山)の隣地にありました。
ある日、仕事をしていると生演奏が聴こえてきました。
ビル前のスペースを利用したミニ屋外コンサートでした。デビュー間もないジェイク・シマブクロがジョージ・ハリスンのホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープスを弾いていました。
東京郊外の町田市で輸入レコードの卸販売会社からスタートしたエイベックスが大企業に成長し、青山のビルを住友生命から購入し本社にしていました。
頂点に登り詰めたレコード会社に相応しい場所だと思いました。
その後、エイベックスは、私の事務所が入居していたビルも買収し、その地域一帯を再開発し、現在の素晴らしいビルに建て替えました。
ところが、今回そのビルを売却するというのです。
ビルが完成してまだ3年です。最初にそのニュースを聞いた当初は、なんとも勿体ないと思いました。
私自身、サラリーマン時代にリクルートグループでビル用地の仕入れをしていた経験からも、立地、規模、外観等々全てにおいて最上級のビルだと思うからです。当然ながら既に買主として外資系ファンドが手をあげているそうです。
エイベックスは、本社を売却した後も借家人としてしばらく入居し続けるということです。
また、電通も中央区汐留にある本社ビルを売却するといったニュースも入ってきました。
電通のビルは、国鉄を清算する時の巨額な赤字の補填にと売りに出された旧国鉄汐留駅跡地の一部に建っています。こちらは超高層オフィスビルであり、やはり東京の中でも一等地中に一等地です。
エイベックスも電通も今期はこのコロナ禍で赤字決算となり、その赤字の補填為の売却であると報道されています。エイベックスは音楽興行がこのコロナ禍で開催できないことが事業に大きな打撃を与えたわけですが、電通は海外事業の清算を含め広告収入の大幅な減収となるようです。
しかし、私には、それ以外にも大きな理由があるように思います。
電通などは、本社ビルを売却した後、その「半分」を賃借し続けるということです。しかし、これは今回のコロナ禍によって起こった「大きな変革」にいち早く適応していこうということではないかと。
つまり、これまで皆が皆一箇所に集まって行ってきた業務を大規模なテレワーク実験を実施したところ、業務やその効率に影響が無かったことが判明し、結果、都心の一等地に高い固定資産税や巨額の維持管理費を払い続けることに合理性が見出せなくなってきたのではないでしょうか。
電通は本社譲渡後に従来の半分程度しか使用しないという事実がそれを物語っていると思います。
更に言えば、ある意味時代の先端を走る彼ら故に、もはや、東京の都心の超一等地に自社ビルを所有するといった合理性や価値、ステイタスが前時代のものになったことに気がついたのかもしれません。
もう一点、敏腕経営者故に「売却するなら今が最高値かもしれない」とふんだのではないでしょうか。
新型コロナの発生によって「時代」が変わったことを正に時代の先端を走ってきた経営者故に感じ得たのかもしれません。
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コロナ感染終息予想〜水仙から蝋梅、梅、そして桜が咲く頃には
昨年の3月中旬に思い切った投資をしました。
その時の私の予想は、最悪で1年、早ければGWにはコロナ感染が終息し、夏には無事オリンピックも開催されるというものでした。
当時の甘い予想は見事に外れました。
(投資の方は最悪を想定して実行致しましたが)
私は、事前にペストに関する書籍を読み漁り、致死率の高いペストに比べれば今回は、、、、と思い、そう予想を立てました。
ペストでは多くの死者を出しましたが、おおよそ10ヶ月後には、雲散霧消しペストは終息していきました。
しかし、現実はこの通りです。
新型コロナウィルスでは、ペストに比べ致死率が低い故に、ウィルスを媒介する人間が生き続け動きまわり感染を広めるといった単純なこの伝染病の特徴が掴めなかったのです。
だからにわか学問は怖いのです。
言い訳をさせて頂くと、3月上旬の世界の、特に欧州の状況は、書物で読む過去のペストの感染状況と瓜二つだと感じたのです。
今回の新型コロナ感染症に関して、経済人の中で、言葉は悪いがもっとも当てた方は、星野リゾートの星野佳路社長だと思われます。
正によき路を示し続けてくれています。
同氏は、新聞や雑誌でのインタビューで「1918年に起きたスペイン風邪を参考にした」と何度もおっしゃっています。
そのスペイン風邪通りだとすれば、現在の第三波(スペイン風邪での第二波)はそろそろ山を越すはずです。
となると、水仙が咲き、蝋梅が咲く、今、正に山を越えている頃ではと。
そして、これが外れたとしても梅が咲く頃には終息すると。
更に、それでも駄目なら、桜が咲く頃にはと。
皆さん、もうしばらくの辛抱じゃないでしょうか。
現在の私の予想は、鎌倉のお寺の梅が満開になる頃、その頃には終息していると。
勿論、根拠は全くありませんが。
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あの時からもう26年経ったのか。阪神淡路大震災の事
震災から5日後だったか東灘区へ。
急遽実家に帰った同僚へ会社の携帯電話を届けに行った。
固定電話が極端に繋がり難くなっていた。
前日は、京都駅前の法華ホテルに泊まった。
京都でも余震が続いていた。
梅田駅周辺は不思議な程、全てが平常通り動いているように感じた。
その西宮駅でも水道は止まっておりトイレは使えなかった。
そのこら国道を5時間程歩いた。
芦屋辺りから道路がチューインガムのように曲がり始め、倒壊している家が現れてきた。
パジャマ姿の品の良い老女が素足で水を求めて歩いていた。
神戸に入ると国道沿いの至るところに布団が敷かれ、遺体が横たわっていた。
唯一通行できる国道は自衛隊の車両とダイエーの車両が目立った。
東灘区まで来ると、見渡す限り殆ど例外なく戸建住宅は倒壊していた。
現実の世界とは思えなかった。
目的地の全壊した戸建の前にしばらく佇んでいると、鳶職のように屋根伝いに一人の男が近付いて来た。よく見ると自衛隊の人だった。
「どこから手を付けて良いのか分からない」と言っていた。
避難所の小学校には大量の水と食料が既に運び込まれていた。
しかし、トイレは、校庭に穴を掘って作った簡易トイレ一つのみだった。
シートで囲われている男女兼用トイレだった。
帰路、開いている店はローソンだけだった。
ローソンには、ガムテープや数点の日用品しか置いていなかったが、丁度トラックが到着し、大量の賞味期限切れのおにぎりが搬入された。そこで急に人が集まり競って買っていた。
焼き芋屋の屋台が一個1,000円で焼き芋を売っていた。
その一月後、私は予定通り会社を辞めた。
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