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クロワッサン「最近、心震える音楽聴きましたか」


数年前、雑誌「クロワッサン」からコラム執筆の依頼がありました。

内容は、住宅や不動産関連ではなく、なんと「音楽」に関してのものでした。

連載されていた「最近、心震える音楽聴きましたか」という1ページのコラムで、毎号の執筆者が自由にCDを4枚を選び、短いコラムと共に音楽を紹介するというものでした。

このお仕事は楽しかったです。
私で百数十人目でしたが、選んだ4枚が過去に紹介されたCDと1枚もだぶらなかったことに担当者が「非常に珍しい」と驚いていました(笑)。

今日は、その時のコラムをご紹介します。


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◎「心震える音楽」 クロワッサン(マガジンハウス発行、2008年4月号?)より



山下達郎「フォー・ユー」

二十数年前、私は東京の片田舎から都心の大学に通うようになりました。
そこでまず、自分の服装や髪型が、上級生のものとは全く異なっていることに愕然としました。

当時の大学生の間では、第何次かのサーフィンブームでした。
「青い空と青い海」、「日焼けした肌」的なファッションや風俗が流行っていました。髪型はサーファーカット、アロハシャツを裏返した様な服を皆が着ていました。サーフィンをやらない者もサーフィン用のキャリアを車に付け街中を走っていました。
私も早速、エセ・サーファーの仲間に入りをしました。
しかし、どうも自分の中でしっくりきません。
やはりエセはエセでしかなく、自分は、いったい何者なのか、将来何になりたいのか、心の中では、何時も漠然たる悩みと焦燥感でいっぱいでした。

しかし、そんな私も、音楽を聴いている時だけは、胸が躍りました。気持ちが高揚しました。
今回ご紹介する山下達郎の「フォー・ユー」は、正にそんな時代に、私も含め当時の誰もが車の中や喫茶店で聞いていたアルバムです。
このアルバムは、当時の「海」や「サーフィン」的なものを強く感じさせるというだけでなく、どの曲もやはりメロディーが美しいのです。

ところで、私は、当時流行りの西海岸どころか、海から遥か遠い街に住んでいました。
そこで、海沿いを走る代わりに、米軍横田基地沿いの国道を深夜によくドライブしました。
この国道には米軍機が滑走路と誤認しないため街灯がありません。
それ故、深夜は真っ暗なのです。
アルバムの中の名曲「FUTARI(二人)」を聴きながら走っていると、彼方へと続く青い誘導灯が銀河の星に見え、宇宙の中を疾走するような錯覚に陥りました。

もしよかったら、深夜に高速や海沿いをこの曲を聴きながら車で疾走してみて下さい。

「夜がここまま、暗闇へ沈んでも、ふたり、繋がれた、心は、隠せない」(FUTARIより)

きっと皆さんも暗闇の中へ幸福感を抱きながら吸い込まれていくと思いますよ。

フォー・ユー

フォー・ユー


イエペス
ロドリーゴ:アランフェス協奏曲」

近年、日本にも若き天才と言われる方が現れ、このロドリーゴの名曲を演奏しCDを出していますが、正直申し上げて比べ物になりません。これぞ本家スペインの本物の天才、故イエペスの名演奏です。10弦ギターのしらべは、どこまでも切なくも美しい。

ロドリーゴ:アランフェス協奏曲

ロドリーゴ:アランフェス協奏曲



ザ・ビートルズ
ラバー・ソウル

結局ビートルズは、20世紀で美しい曲を最も沢山書いたバンドではないかと思います。「音楽の教科書で習った」からと過去においやっては勿体無い。中期のラブソング中心のこのアルバムは、あなたの知らない名曲が幾つかきっとあると思います。

ラバー・ソウル

ラバー・ソウル



■ザ・テンプターズ
「ザ・テンプターズ・ベスト・トラックス」

テンプターズのボーカルか誰だったのかご存知ですか?キワモノとして選んだのではありません。「エメラルドの伝説」、「純愛」、「今日を生きよう」と名曲があるのです。萩原健一の甘くかすれた声、切ない詩、美しいメロディー、これぞ60年代の和製ロック。

ザ・テンプターズ・ベスト・トラックス

ザ・テンプターズ・ベスト・トラックス


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PS.
「お前は誰なんだ?」とか「お前は湯川れい子か!?」と言われそうですが(笑)、正に湯川れい子になりきって書いたコラムでした・・・。
何とも楽しい仕事でした。
「自分はもしかしたら不動産より音楽の方が数倍好きなのかもしれない」と思いました(笑)。


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