新東京邂逅記 by 長谷川高

厳しい時代を生き抜く為の資産防衛と不動産戦略

台湾有事には東京も戦禍から逃れられない

私は、立川基地、大和基地、横田基地といった三つの基地の近くで育ちました。

初めて沖縄県沖縄市を訪れた時、それはかつての立川市とそっくりでした。

以下、週刊現代へ寄稿した元原稿(加筆有り)です。 

 

「台湾有事」で東京も戦禍から逃れられない…「米軍最高司令部」横田基地が狙われる日(長谷川高,週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)

 

「台湾有事には東京も戦禍から逃れられない」

8月3日のペロシ米下院議長の台湾訪問に合わせて中国軍が台湾周辺で大規模な威嚇的軍事演習を開始ししました。
 ペロシ氏は翌日には韓国を訪問しましたが、韓国のユン大統領は休暇を理由に同氏とは面会致しませんでした。

更にその翌日には日本を訪問し岸田総理との会談となりました。

このペロシ氏の台湾訪問を日本人の多くは、どう受け取ったのでしょうか。


 国外に住む稀代の投資家であり中国通の友人O氏は、今回のペロシ氏の台湾訪問は、台湾有事、つまり中国と台湾の間で何らかの紛争を誘発しかねない危険な訪問であると、かなり以前より繰り返し連絡を入れてくれました。

「これは、日本にとっても極めて大きなリスクだ」と。
 海外のニュース番組では台湾有事の際の中国軍と台湾軍、更には米国軍の攻撃シュミレーションを番組内で繰り返し放送していると。一方日本のマスコミは他人事のような報道ばかりであると。

 

「東京都内にある在日米軍最高司令部」

 

さて、話しは少しそれますが、日本における在日米軍の最高司令部はどこにあるかご存知でしょうか?沖縄のどこかの基地内でしょうか?

また同じく日本において一番距離の長い滑走路、つまり大型の軍事用輸送機が十分に離発着可能な米軍基地はどこにあるでしょうか?やはり沖縄でしょうか?
 その答えは東京都内にある米軍横田基地です。

 

この米軍横田基地福生市、瑞穂町、武蔵村山市昭島市立川市羽村市の5市I町にまたがっています。この6つの自治体の総人口の合計は約50万人です。

この日本最長の滑走路と在日米軍最高司令部のあるこの基地周辺に約50万人が住んでいるのです。

 

この横田基地周辺には東京でありながら農地も広く拡がっています。実際、私の同級生は、この横田基地に隣接する農地を耕作し様々な農作物を作っています。彼ともこれまで何度となく話して来たのだが、この横田基地が万が一、日本へ返還された場合、本当の意味での東京国際空港になるだろうと。そうなると現在市街化調整区域の指定を受け、何ら建物が建てられないこの一帯も、大きく変貌し、土地の資産価値も十倍以上にはなるだろうと。つまり広大な農地が市街化区域に編入され、千葉県の成田空港周辺以上に様々な施設が建設されるであろうと。

それ故、かつて石原都知事横田基地の軍民共用化を訴えた時には、その万が一が起こるかもしれないと大いに盛りが上がりました。

しかし、現実はこの真逆の方向に進んでいる昨今の状況です。

 

「東京多摩地区住民にとって、台湾有事は近隣で起こる戦後最大の危機」


 今回ペロシ氏が台湾訪問示唆した段階で、中国の高官や軍の幹部は「仮に台湾を訪問すれば座視はしない」とか「迎撃する可能性もある」と発言してきました。

この基地の近くに実家のある私としても、もしも万が一、米軍と中国とのあいだで紛争が起きた場合、つまり米軍が台湾を防衛又は奪還する為に中国軍との間で戦争状態になったならば、いったい何が起こるのだろうかと頭の中でシュミレーションを繰り返しました。

その際には、台湾から距離的も近い沖縄の米軍基地から戦闘機や輸送機が離発着することになるだろうと。そして、この米軍横田基地からも多くの戦闘機や輸送機が飛び立つことになると。

 

台湾有事が万が一起こった際、中国軍としては当然ながら沖縄の基地や、この在日米軍司令部があり、かつギャラクシー等の大型輸送機が離発着できるこの米軍横田基地を攻撃することは戦略上やむを得ないのではないのかと。

この場合、言うまでもなく、東京の西部、多摩地区は壊滅的な打撃を受け、現在我々がニュースで見ているウクライナ東部の都市と同じ惨状が起こるのではないかと。

 

「所詮ペロシ氏は遠く離れた自宅のソファーで有事を観戦するのみ」

 

さてその時、歴史にその名前を刻んだペロシ氏はどこにいるのでしょうか?当然ながら遠く遠く離れた米国の彼女の自宅でソファーに座り、テレビを通じてその戦況、戦禍を見るのだろうと。

 

今回のペロシ氏のアジア諸国訪問に際して、先に記した通り、韓国の大統領は面会を致しませんでした。このことを多くの日本人は「腰が引けた状態だ」と感じたかもしれません。しかし北朝鮮を挟んでいるとは言いながら、中国とは陸続きである韓国の大統領にとっては、我々から見えているものとは異なった危機(=リスク)が見えていたのではないでしょうか。

台湾有事の際、日本はおそらく後方支援、物資の補給といった役目を担うことになるのでしょうが、朝鮮戦争の時のように名実共に「後方支援」だけで済むとは到底思えません。

中国軍によるミサイル等での攻撃対象は当然ながら台湾の軍事基地だけでなく、沖縄の米軍基地や長崎県佐世保基地山口県岩国基地、神奈川県横須賀基地厚木基地、そして在日米軍最高司令部のある米軍横田基地も間違いなく入ってくるのではないでしょうか。

 

そういったことも頭に入れて、我々は今後も引き続き台湾と中国との関係を注視し続けなければなりません。

 

ところで、1980年代当時、私の出身地でもある東京西部では、バイクや自動車の運転免許を取った若者の多くがこの横田基地を目指しました。滑走路と平行して走る国道16号には街灯がありません。米軍機が滑走路の誘導灯と見間違えないように全て撤去さているのです。深夜、真っ暗な国道を走ればそこは正に米国であり、滑走路の上で青く光る誘導灯は宇宙に光る恒星のようでした。

軍事基地でありながらもこのような平和な光景が今後も長く続くことを祈りたいです。そして、同時に、何時の日か、この米軍基地が日本に帰ってくることを。

 

 長谷川不動産経済社