Japan Far East Real Estate

Hasegawa Real Estate and Economy, Inc.

欧米並みの住宅ローン金利急上昇に備えよ!!

*以下、日刊ゲンダイ9月20日号へ寄稿した記事の原文です。

 

欧米各国の金利が徐々にかつ確実に上昇してきました。これはいわゆる消費者物価指数が大きく上昇してきた結果、各国の中央銀行がインフレを抑えるために政策金利を上げているわけですが、どうやらこの物価の上昇もそれを抑えるための政策金利の上昇もここ数ヶ月で終わるという事はないようです。

 

今後もどこまでもこの物価が上昇していくならば、いわゆるハイパーインフレとなり経済そのものが破壊されることになります。果たして今後どうなるのでしょうか。

 

さて、インフレを抑制するためには政策金利を上げるというその根拠は何でしょうか?

何故金利を上昇させることによってインフレが収まるのでしょうか?

教科書的に解説するならば、金利が高くなることによってお金を保有する個人や法人がものを買うことをやめて、お金を貯蓄に回すようになる、これにより消費が減る=需要が減るということなのですが。

しかしながら、本来欲しいものや必要なものを買わずに、敢えて貯蓄に回そうと思う程の金利とはどの程度なのでしょうか。それは当然ながら1〜3%ではないはずです。また、別の表現をするならば、この金利を上昇させる意味合いは(企業や個人の借入金利を上昇させることにより)経済を破壊し、消費すなわち需要を押さえ込むというものです。

 

日銀は今のところ金利を上げることをしておりません。

しかしながら、日本の食料自給率が約37%(アメリカ121%、イギリス70%、ドイツ80%)エネルギーの自給率も日本約12%(アメリカ104%、イギリス71%、ドイツ34%)といった状況下、世界中でインフレが起きている中、このままインフレも起きないという事は現実的にはありえないことではないでしょうか(個人的に既に起きていると感じますが)。

 

前述のように我々は生活していく上で必要な食料やエネルギーの大部分を輸入に頼っているわけです。

さらには、今、正に円安が激しい勢いで進んでいます。

この現実を踏まえれば、日本の物価だけが上昇しない理由はないのです。それも先の通り、僅かに金利を上昇させれば短期間でインフレが収まる訳ではないのです。

 

さて、日本で金利が上昇した場合、借り入れを起こしている個人や法人は極めて厳しい状況になるわけですが、我々一般庶民における一番身直な問題は「住宅ローン金利」ではないでしょうか。国土交通省が2022年3月に発表した「令和3年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」によると、令和2年度の住宅ローン新規貸出額のうち、実に70%が変動金利を利用していると。おそらく多くの方は、金利が上昇していったときには固定に変えればいいといったお考えだと思われます。

 

しかし、その時には既に固定金利金利も上がっているでしょうし、万が一失業したばかりであるとか、または転職した直後であった場合には新たにローンを組み直すことすらできなくなる可能性もあります。

 

現在、変動金利で4,000万円を住宅ローン金利0.8%といった超低金利で35年借り入れしている方の毎月の返済額は(元利均等払いで)約11万円ですが、万が一この金利が5%に上昇した場合、毎月の返済額は20万円となります。

 

因みに米国では既に住宅ローン金利は約6%まで上昇してきました。

こういった「万が一」のことに備えておくということがこれからの時代生き延びて行く上では非常に重要なことではないかと思います。

 

 長谷川不動産経済社