Japan Far East Real Estate

Hasegawa Real Estate and Economy, Inc.

ダライラマ14世の次の次に偉いお坊さん


収益を生まなくなった土地やアパートを売却して、収益を生む資産に買い換えるというコンサルティングを以前から行っています。

しかし、所有している資産がなかなか売れない物件である場合も多々あります。

あるお客様が東京近県に所有する古アパートは、駅からも遠い物件でしたが一棟丸ごと借りてくれていたある団体のお陰で幸運にも長い間空室0の状態でした。
ところが一括で借りてくれていたその団体からの突如解約の申し出があり弊社にご相談にこられました。


このアパートは駅からも遠く、更にお寺の墓地に隣接している物件でした。
一般的には非常に賃借人を付けるのが困難な物件であった訳です。
売却を考慮に入れて色々動いたのですが、やはり墓地の隣接ということがネックで買い手は全く現れませんでした。


地図と睨めっこをしてあるアイデアが浮かびました。
「ああそうか〜お寺さんに買ってもらえば良いのだ。お寺も墓地を拡張できる良いチャンスだろうし。問題は金額だけど・・・」
隣地に購入頂くというのは古典的なことですが・・・相手がお寺さんなので・・・まあ兎に角お寺さんに話を聞いて貰いに行くことに致しました。
こういったことは机上で考えていても仕方がありません。
コンサルと言えども行動力が全てです。


その後、私は資料を揃えてアポ無しで週末にお寺さんを早速訪れました。

立派な門構えで本堂も近年新築したらしくまだ新しいものでした。

入口の引き戸を開けると、読経の声が聞こえました。
「あ〜今日は法事か〜。タイミングが悪いな・・・・」
と思いつつ折角遠路はるばる参りましたので話だけでもと思い
「ごめんくださ〜い」と。
迷惑を覚悟で大声を張り上げました。

すると中から初老の女性が現れました。
「あの〜実は、私、東京から来た長谷川と申しまして・・・・」と何時もの口上を述べた所
「今、住職は法事をやっているのですが、そういった御用であれば中へ上がってお待ち下さい。もうすぐ終わりますから・・・」
と庫裏の普通の家で言えばキッチンに通されました。


女性はどうやら住職の奥様のようで、チャキチャキの武州弁(私と同じ)を話しました。

「あの土地も実は昔お寺の所有地だったのです。ところが前の住職が金使いの荒い人で土地をドンドン切り売りしてしまったの。私達はよそのからこのお寺に来て経営を立て直し、売ってしまった土地を買い戻そうと思ってはいるのよ。まあ詳しくは住職と話して下さい」と。


「これは、来た甲斐があったな〜」と率直に有難い出会いだと思いました。
しかし、住職は法事が長引いているのかなかなか来られません。


突然、奥様が「長谷川さん、もうすぐお昼になるから一緒にお昼いかがですか?」
「どうせ近くのラーメン屋から出前を取るだけだけど」と。


「いや、突然来てとんでもございません。私はけっこうです。」
「他の人の分と一緒に取るから遠慮しないで、どうせ店屋物だし、何がよいかしら」
とメニューを渡されました。
「・・・・・・・・」と選びかねていると、
「では私が勝手に取るわね」


それから更に約30分後、店屋物が届きました。

奥様が「今うちのお寺では、チベットから来たお坊さんが滞在しているので皆で一緒に食べますけどいい?」と。
「はい、もちろんかまいませんが・・・」


「所で長谷川さん何宗?」
「うちは真言宗です。」
「あらそれは、良かった、真言宗真言密教と言って仏教の原形に最も近いのよ。つまりチベット仏教に最も近いのだから、これも何かのご縁よ。」
「はい・・・」


「今、うちに滞在されている方は、ダライ・ラマ14世に続きチベットで3番目の地位の方なのよ。そこに写真も飾ってあるでしょう」
見上げると立派な額縁に入った私が知らない少し小太りの30歳台の僧侶の方の写真が飾ってありました。

(2番目の地位の方は、実はまだ子供で、現在行方不明の状態であるとのことでした。よって、ダライ・ラマ14世にもしもことがあったら、これから来られる方が取り敢えず最高位付くということだそうで・・・)


「今回、明日からその方を京都へお連れします。京都にこの方の話を聞きに300人以上の宗派を超えたお坊さんが日本全国から集まるのです・・・」

仏教を勉強すればするほど、結局は仏教の原形、チベット仏教に行きつくのだそうです。勉強熱心な日本のお坊さんもやはり、チベット仏教を学びたいという方が多いのだそうです。
各宗派の本山はやはり良い顔はしないのだそうですが、その行為は止められないのだそうです。
今回、全国から集まったお坊さんの最終目的は、その偉いお坊さんに帰依?する儀式を行う為なのだそうです。


つまり、私が偶然訪れたお寺に相当凄い(というかチベット第3位!の)お坊さんが偶然来られていて、これから私もその方とお食事を一緒に取ることになったのです。


そんな話をしていると遂に決して大きくないキッチンにお坊さんが二人、あの例の袈裟を着て入ってこられました。(一人は偉い方の身の回りの世話をする若い従者です。)
私は、立ち上がって深深とお辞儀をしました。
(確かにお写真と同じ方でした。)
世が世なら、あの空海だって、今の高野山の最高位の僧侶だって簡単にはお会いできないお方なのですから。

住職もほぼ同じタイミングで法事を終わられて戻って来られました。
「あ〜長谷川さん、お待たせしました。お話しは食事をしてからに致しましょう。」

決して大きくない4人掛けのテーブルにチベットの僧侶の方二人、その向かいに住職と更にその隣にスーツ姿の私が座りました。

テーブルの上には、「(大盛の)オムライス」、「チャーシューメン」、「タンメン」、「ラーメン」が並んでいました。


実は、もう12時を遥か過ぎていましたので私も恥ずかしながら相当お腹が減っていました。
お米系が大好物な私は、「チベットの方は当然粗食だろうし、住職はお歳だから、多分オムライスが残るだろうな」と直感しました。




奥様に促され、偉い(チベット第3位!)僧侶の方から順に食事を選ばれました。
その僧侶の方が選んだのは、迷わず! 何と・・・オムライスでした!!
従者の方は、チャーシューメンを選び・・・・。
私は、勿論遠慮してラーメンを選びました。


さて、あ〜!お腹が空いた!さ〜食べようか!「いただきま〜す!」と言おうと思った瞬間!


なんと読経が始まりました。チベットの高僧自らの読経です!!!


私はとっさに箸を置き、目を閉じました。


初めて聞くチベット仏教のお経は、これまで幾度となく聞いてきた真言密教のお経と確かにどこか似ていました・・・。


「おばあちゃん、おじいちゃん、親父、叔母さん、長谷川家の先祖の方々、今、何故かチベットの相当偉いお坊さんが目の前にいます!オムライスとラーメンを挟んで目の前に・・・・有難いことです・・・合掌」


***


株式会社長谷川不動産経済社