新東京邂逅記〜出会いこそが全て〜

人、書籍、不動産、投資、金融、経済、歴史、語学、リベラルアーツとの出会いをここに記す。

逆張りで生き残れ「家は、都心でなくていいんじゃないの」

  昨今、東京23区や都心部の新築分譲マンションの価格は、1億円を遥かに超えている。
不動産価格の歴史的な高騰が続くなか、「私たちはどう家選びを進めれば良いのか」という質問や取材を受ける機会が増えた。この難局を打開する一手として提案したいのが、市場の常識に囚われない「逆張り」の発想である。


 具体的には、大手デベロッパーが定める供給エリアの「外側」で住まいを探すという戦略だ。現在、大手デベロッパーのマンション供給エリア(首都圏)は、西が立川市、東が千葉県の船橋市、北がさいたま市、南は横浜市周辺までと概ね規定されている。


 このエリアは都心に通いやすく、生活利便施設が充実し、同時に高値で売れる範囲を示すものだ。その外側に目を向けることが「逆張り的発想」である。
 例えば、東京西部では、立川市よりさらに外側に位置する昭島市、日野市、八王子市、羽村市、福生市といった国道16号沿線エリアであれば、中古マンションが2000~3000万円台で流通している。中古戸建ても2000万円から3000万円台で購入可能だ。


 都心へのアクセスは東京駅まで約50分から1時間、新宿駅まで約40分と相応の時間を要するが、価格面の圧倒的な魅力は無視できない。
 また郊外への移住にあたっては「教育や医療の環境が整っているのか」という懸念も聞かれる。


 しかし、その心配は無用だ。教育面では早稲田実業(国分寺市)や明治大学付属(八王子市)、中央大学附属(小金井市)、桐朋(国立市)といった名門・私立中高校に加え、国立高校や立川高校、八王子東高校、そして我が母校国分寺高校、さらには都立中高一貫の立川国際や武蔵高校など、国公立大や難関私大への高い進学実績を誇る公立名門校が揃っている。
 医療面でも、府中にある都立多摩総合医療センターや立川の災害医療センターをはじめ、大型の総合病院から専門病院まで高度な医療体制が確立されている。


 かつて最大のネックであった通勤距離も、週に数日の在宅勤務を組み込めるハイブリッドワークやフレックスタイム制が普及した現在、大きな障害ではなくなりつつある。毎日の通勤地獄を避け、生活利便施設も充実し、自然豊かな住環境で暮らすことが可能となったのだ。

 

 更に、端的に言えば、お父さんが、片道1時間から1時間半の通勤時間を良しとすれば、色々な経済的なことが解決する。しかし、これが今の時代は、当たり前ではなくなったようだ。

 

 それはそうでしょう。「遠い」だ「不便」だとのご意見もあろうが、昭和のお父さんの通勤時間はこんな感じだったのだ。郊外の郊外にある安い公団公営住宅に住んで、コツコツコツコツ貯金をして、やはり同じ郊外に小舎な一軒家を買う。

 

 一方、無理をすれば、それはいつかは続かなくなる。今の言葉で言えば持続可能ではなくなるのだ。

 

 前述の「逆張り的な家探し」は、さいたま市、船橋市、横浜市のさらに外側でも同じことが言える。


 インフレが進行し、金利上昇が見込まれる昨今、最も警戒すべきは高額な住宅ローンによる家計の破綻である。無理に高額物件を長期ローンで購入すれば、金利上昇や物価高、教育費の増加が重なった際に立ち行かなくなる。


 極めて高い買い物である家の購入において、無理のない人生設計は、経済的かつ精神的な安定をもたらす。子育てや老後を見据えた上でも賢明な選択と言えるのではないだろうか。

 

*上記コラムは、日刊ゲンダイへ寄稿した元原稿を変更、加筆したものです。

 

提供: 長谷川不動産経済社